不動産×金融の強みいかし挑む--「住み替えカンパニー」に変貌を遂げるアルヒ

 住宅ローンテックを推進するアルヒが第2の創業を掲げ、住み替えカンパニーへと変革を遂げようとしている。“本当に住みやすい街”を提案するウェブサービス「TownU」や住み替えをサポートする「アルヒ住み替えコンシェルジュ」を配し、住み替え時における最初の接点になることを目指す。「以前は家を買うことは、人生の最大イベントという価値観が強かったが、これからの時代は違う。何十年と暮らす中で家族構成も変わるし、暮らしやすい間取りも変わってくる」と住み替えの重要性を説く、アルヒ 代表取締役社長CEO兼COOの勝屋敏彦氏に、住宅ローンテック企業としての現状と、次の柱となる住み替えを含めた新たなアルヒの姿について聞いた。

アルヒ 代表取締役社長CEO兼COOの勝屋敏彦氏
アルヒ 代表取締役社長CEO兼COOの勝屋敏彦氏

――住宅ローンの現状について教えてください。

 全般的に住宅購入意欲は衰えていないと感じていますので、住宅ローンのニーズも強いですが、物価も上がり、住宅価格も上昇傾向にある中、購入しづらくなっている状況にあると認識しています。

 こうした状況から住宅ローンについては、支払額を少しでも抑えるために足元の金利が低い変動金利を選ばれるお客様が多いですね。以前から、マーケットでは変動金利が9割、固定金利が1割くらいの割合でしたが、おそらく現状では変動が9割を超えている状況だと思います。

――アルヒの取り扱いも変動金利が中心ですか。

 私たちのメイン商材は「フラット35」なので、固定金利が中心です。ここにアルヒオリジナルの変動金利商品を用意することで、受け皿を広げたいと考えています。変動金利商品は、主に銀行代理として取り扱っていますが、銀行法の兼ね合いなどがあり、フランチャイズの店舗では販売が難しい面がありました。しかし、アルヒは2022年にSBIグループに入りましたので、SBI新生銀行との共同開発という形で、変動金利商品をそろえ、お客様に合わせて展開していきます。

 これが実現すれば、現状、約2割の直営店でしか販売できなかった変動金利商品を全てのフランチャイズ店舗でも提供できるようになります。これにより、固定と変動の割合を50対50に変えていきたい。足元、固定金利は厳しいマーケットだと言われていますが、今後金利の状況が変化してもフレキシブルに対応できますし、そうすべきだと考えています。

――商品ラインアップの変化とともに、住み替えカンパニーとしてもスタートを切っていますね。

 住み替えカンパニーは、第2の創業を打ち出した2021年に始めた取り組みになります。日本は「終の棲家」と言われる通り、家を建てると一生そこに住む方が多いですよね。家を買うことは、人生のゴールのように言われる。でも、人生100年時代の今、30〜40代で購入した家にずっと住み続けたいかというとそうではない。お子さんが生まれたり、独立したり、同居家族が他界されたりと、何十年もすれば家族構成は変わります。それに応じて家もスケールアップもしくはダウンすることで、人生がハッピーになると思っています。

 ある統計によると、日本人が生涯のうちに引っ越す回数は平均3回と言われていて、これは米国人の3分の1以下なんですね。そこまで多くなくても3回が6回になるくらいの住み替えはありなのではと。ただ、お客様が住み替えたいと思うには後押しが必要で、そのお手伝いをするために立ち上げたのが住み替えカンパニー構想になります。

 日本人の生涯住み替え回数が少ない理由の一つは「面倒、億劫」だからです。次に住む家をさがして、自宅を売却して、住宅ローンの残りを返済して、新しい住宅ローンを組んでとやることがとにかく多い。ここをワンストップでサポートできれば、もっと住み替えは促進されるはずです。

 加えて、新しい家を購入するのと、現在の自宅を売却する不動産会社が異なっていたり、残りの住宅ローンの返済計画を立てて、新たな住宅ローンを組むのは金融機関だったりと、取り巻くプレーヤーが多すぎる。ここを、アルヒ住み替えコンシェルジュが、今住んでいる家の住宅ローンが残っている状態であっても住み替えられるような計画を立てたり、ファイナンスプランのご相談を承ったりして、スムーズに住み替えられるお手伝いをしていきます。

不動産と金融の両方を見られるオンリーワンになる

――不動産会社と金融機関の2つにまたがっていた業務が、アルヒならばワンストップで済むイメージですか。

 そのために、不動産と金融の両方がわかるスペシャリストとしてアルヒ住み替えコンシェルジュを配置しています。アルヒにはファイナンスと不動産のそれぞれに長けている人材がいますし、加えてSBIグループでは多くの金融商品も持っているので、グループ内でのシナジー効果も出やすい。SBIグループとして、お客様にあらゆる提案ができるのではないかと考えています。

 今のところ、不動産と金融の両方を見つつ、お客様をサポートできる競合は私たちが知る限りいないと見ていて、オンリーワンを目指しています。お客様の住み替えが進めば、40〜50年住んで、最終的に壊すのではなく、メンテナンスをしながら、新しい家族に住んでもらえる。資源を有効活用することでCO2の排出抑制につながるので、環境面からもいいことだと思います。お客様にも地球にも優しく、ビジネスとしても取引が増える。この三方良しで第2の創業を進めています。

 住み替えカンパニーへと完全に生まれ変わるにはもう少し時間がかかると思いますが、今後はこれがアルヒのコアになっていきます。住宅ローンビジネスは外部環境に影響される部分がありますが、その延長線ではなく、新たなコアを生み出すことで、事業を大きくし、さらに前進していこうと考えています。

――SBIグループ企業としての強みが発揮できますね。

 SBI新生銀行とタッグを組むことで、受け皿が大きくなり、それが事業の拡大にもつながると考えています。ただ、グループ内に閉じこもるつもりは全くなくて、今まで通り、外部企業の方との連携も強めていきたい。住み替えカンパニーとしての需要は外部の方にも強く感じていただけていると思いますし、外とも中ともタッグを組みながら、進めていきたいと考えています。

――中期経営計画では「再成長」というキーワードも出てきますが、その取り組みは。

 変動金利商品を拡充し、固定、変動どちらも選べる世界にしていきたいのが一つ。もう一つは新規チャネルを作りたいと考えています。今までも店舗で住宅ローンのニーズを吸収してきましたが、店舗の機能を少し変えていこうと考えています。従来は、同じ機能を持つ店舗展開をしてきましたが、営業を専門にやっていく店舗と他店を束ねる機能をもたせた店舗に分けていきたい。自転車のスポークのように、中心となる店舗から、他店に広がっていくイメージですね。

 同質の店舗が各地にあるのではなくて、拠点とサテライト店舗の形に変えることで、地域全体で総合的に営業力を増し、作業は効率化できる。そうした店舗形態に変えていきます。

 店舗における作業も今後のデジタル化、AI化を経て大きく変わってくるはずです。住宅ローンは30〜40年の非常に付き合いの長い商品なので、お客様とも長く関係が築ける。それだけに、申込み当時はどうだったかと振り返ったとき、すぐに、正確な当時の書類を引き出す必要があります。

 今は、契約などのやり取りは紙ベースなので、探すのにもひと手間かかることもあり、効率や正確性を保つために、デジタルでしっかりとログをとることで、確実なものにしていきたい。デジタル化というと、作業の効率面だけが取り沙汰される傾向にありますが、記録を残すという意味でも非常に重要で、そうした面からブロックチェーン的な動きは非常に歓迎しています。

 息の長い商品を扱う私たちだからこそ、デジタルで記録を残し、確実なものにしていく。それが仕事の効率化にも結びつく。そうした事実をきちんと積み上げて行きたいと考えています。

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