Appleはこれまで、Apple製品専用に製造した独自のチップセットをスマートフォンやタブレットに搭載し、Qualcommを上回るパフォーマンスを示してきた。Vision Proには、Appleの新しい「M2」プロセッサーと、新しい専用チップ「R1」の両方が搭載される。多くのカメラを搭載したVision Proでは、膨大な計算能力が必要になるからだ。このヘッドセットが純粋なパフォーマンスでQuest 3の対抗馬となることは容易に想像がつく。このような状況では、純粋な処理能力が高いことはもちろん重要だが、本当に大事なのは、実際に使用したときのパフォーマンスと、開発者がヘッドセットで何を実現できるのかということだ。
この10年の間に、顔に装着するコンピューターはいくつも発売された。そうしたデバイスの製造元企業の多くは、かなり前にそれらのプロジェクトから手を引いている。極めて高性能なヘッドセットを作るだけでは不十分なのだ。そのヘッドセットを使って、面白いことができなければならない。AppleやGoogleが運営するモバイルアプリストアと比較すると、こうしたヘッドセットの市場は極めて小規模であるということも思い出す必要がある。両社のモバイルアプリストアはそれぞれ100万種類を優に超えるアプリを備えており、インターネットに接続する地球上のあらゆる人にサービスを提供している。Metaのアプリストアの説明には、同社のヘッドセット向けに「数千」種類のアプリが提供されていると書かれている。だが、同アプリストアの「Quest」のセクションでは、2023年中にQuest 2向けアプリの数が500種類に到達することを目指して準備が進められている。ここには、競争の余地がたくさんある。
Metaは何年も前から、自社のプラットフォーム上のアプリとゲームの品揃えを充実させようと努めてきた。また、これは賢明な判断ではなかったかもしれないが、メタバースプラットフォームの「Horizon Worlds」に多額の投資もしてきた。2021年には、開発を促すために、1000万ドルのクリエイターファンドを設立したことを発表した。本稿執筆時点で、Metaのアプリストアにあるアプリの3分の1が100万ドル以上の売り上げを記録している。「Beat Saber」のようなアクションタイトル、「Moss:第2巻」のようなインタラクティブなストーリー、「The Room VR:A Dark Matter」のようなホラー体験など、さまざまなゲームが提供されており、Meta Quest 3向けアプリの最大のカテゴリーはゲームになりそうだ。教育や探索に関連するアプリもこのアプリストアでそこそこの地位を築いている。そうしたアプリでは、博物館を探索したり、自分では一生行けないかもしれない世界のさまざまな場所を体験したりできる。Quest 3を手に取った人が、「次は何をしよう」という問いの答えに窮することはないだろう。
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