ファイターズ本拠地「ES CON FIELD」は内野フライも見やすい照明--映像、音響と一体演出も

 北海道日本ハムファイターズの本拠地となる新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO」(ES CON FIELD/エスコンフィールド)が3月30日にオープンした。収容人数は3万5000人で、日本初となる開閉式屋根付き天然芝球場になる。球場を中心に、宿泊施設やレストラン、商業施設などが建ち並ぶ「街」のような空間で、「ボールパーク」として、周辺住民の人に愛され、多くの人が訪れる場所を目指す。

北海道日本ハムファイターズの本拠地となる新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO」
北海道日本ハムファイターズの本拠地となる新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO」
ES CON FIELDの球場内
ES CON FIELDの球場内

 球場一体型ホテルや世界初となる温泉、サウナ施設を球場内に設けるなど、話題のES CON FIELDだが、まぶしさを抑制した照明設計や映像、照明、音響の統合など、球場内には数多くの最新テクノロジーを導入している。

 ES CON FIELDの照明、映像機器の導入、設置を手掛けたのは、パナソニック エレクトリックワークス社とパナソニック コネクト。競技用照明としてLED投光器2キロワット相当を226台、1キロワット相当を128台導入したほか、球場内の照明としてダウンライト約9000台、外構照明約450台を納入している。

 球場照明は、外野側に2カ所、内野側4カ所の計6カ所に設置。球場内はファースト側とサード側に大型ビジョンを設けているため、大型ビジョンが見えづらくならないよう、照明器具を離して設置しているという。

 「内野側に設置した照明は、外側に2キロワット相当、選手の視線に入りやすい内側に1キロワット相当と2種類の投光器を組み合わせることで、まぶしさを低減し、プレーしやすくしている。照明器具からの配光は無駄な漏れ光を少なく抑制することで光だまりをなくし、打ち上がったボールなども見やすくしている」(パナソニック エレクトリックワークス社ライティング事業部エンジニアリングセンター専門市場エンジニアリング部スポーツ照明課の栗本雅之氏)とプレーヤーファーストを徹底する。

パナソニック エレクトリックワークス社ライティング事業部エンジニアリングセンター専門市場エンジニアリング部スポーツ照明課の栗本雅之氏
パナソニック エレクトリックワークス社ライティング事業部エンジニアリングセンター専門市場エンジニアリング部スポーツ照明課の栗本雅之氏

 照明はDMX制御技術を用い、1台ずつ調光できるほか、競技用、演出用として使えるなど幅広い活用が可能。工事前に照明環境を事前に確認ができるスポーツVR技術を取り入れることで、まぶしさの制御や演出を事前に検証しているという。

 「ES CON FIELDでは、試合のシーンに合わせて照明だけではなく、音響や大型ビジョン、サイネージなどが連携し、迫力ある演出をできることがポイント。照明をライン状の流れやランダムに点滅させることで光源自体のきらびやかさ見せられるほか、グラウンド面がポツンと明るくなり、照明器具を順々に点灯させ、サークルやウェーブを描くなどの演出もできる」(栗本氏)と見どころを説明した。

照明の設置位置
照明の設置位置
LED投光器2キロワット相当、1キロワット相当
LED投光器2キロワット相当、1キロワット相当

 映像機器では、IT/IPプラットフォーム「KAIROS(ケイロス)」と場内約600台のデジタルサイネージ、カメラ約10台を納入。2面の大型ビジョンとも連携し、試合を映像演出の観点から盛り上げる。

 「パナソニックでは、60年間に渡り放送システムに携わってきた。これまでの設計ノウハウをいかし、撮る、創る、映すのワークフローを構築している。場内のサイネージはCATVソリューションの技術を応用することで、0.5秒以下の遅延を実現。リアルタイム性に長けている。映像、照明、音響は『統合マネジメントシステム(S-CMS)』により連携し、一体感と没入感が得られる演出が可能だ」(パナソニック コネクト 現場ソリューションカンパニー映像メディアソリューション事業本部ソリューション1部の加藤暁之氏)と特長を話した。

パナソニック 現場ソリューションカンパニー映像メディアソリューション事業本部ソリューション1部の加藤暁之氏
パナソニック 現場ソリューションカンパニー映像メディアソリューション事業本部ソリューション1部の加藤暁之氏

 パナソニックでは、3塁側ダグアウトクラブのネーミングライツを取得し「Panasonic CLUB LOUNGE」を設置。「ファイターズの方から、自然を味わえるような空間にしてほしいというテーマをいただき、そこを意識して設営した」(パナソニック エレクトリックワークス社マーケティング本部北海道電材営業部電材営業開発部の馬杉道裕氏)とする。

「Panasonic CLUB LOUNGE」
「Panasonic CLUB LOUNGE」
パナソニック エレクトリックワークス社マーケティング本部北海道電材営業部電材営業開発部の馬杉道裕氏
パナソニック エレクトリックワークス社マーケティング本部北海道電材営業部電材営業開発部の馬杉道裕氏

 ラウンジ内は、中心光度を上げ、スポット光としてのフォーカス効果を高めることでグレアを大幅に低減する照明器具シリーズ「TOLSO(トルソー)」のスポットライトやダウンライトを配置したほか、スポットライト型の「ナノイーX発生機」で、きれいな空気をキープ。木漏れ日を演出するダウンライト型プロジェクター「BioSHADOW(バイオシャドー)」により、外光が差し込んだかのような自然を感じられるスペースになっている。

木漏れ日を演出するダウンライト型プロジェクター「BioSHADOW」
木漏れ日を演出するダウンライト型プロジェクター「BioSHADOW」

 エアーマッサージャー「レッグリフレ」や「ナノケアスチーマー」といった美容、健康家電も取りそろえ、実際に体感することが可能。未発売の照明器具「LANTERNA」もラウンジ内に設置されていた。

 ラウンジ内の面積は590平方メートルで、88人の収容が可能。座席単価は1万3000円〜2万7000円で、年間席(113〜156万円)も用意する。単価は試合によって異なるとしている。

ラウンジ内は590平方メートルの広々としたスペース
ラウンジ内は590平方メートルの広々としたスペース
ラウンジ内では美容、健康製品の貸し出しもOK。奥にあるのはマッサージチェア「REAL PRO EP-MA103」
ラウンジ内では美容、健康製品の貸し出しもOK。奥にあるのはマッサージチェア「REAL PRO EP-MA103」

 ファイターズ スポーツ&エンターテイメント事業統轄本部営業統括部法人営業部の河原井建吾氏は「座席裏には食事エリアを設け、利用者は飲食付きで野球観戦を楽しめる。食事に関しては、北海道産のものを用意している。ラウンジに関しては、試合日はもちろん、非試合日の活用も考えている。このエリアに入ってきていただき、パナソニック製品と接点が持てる機会を増やしていきたい」とした。

ファイターズ スポーツ&エンターテイメント事業統轄本部営業統括部法人営業部の河原井建吾氏
ファイターズ スポーツ&エンターテイメント事業統轄本部営業統括部法人営業部の河原井建吾氏

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