ソニーグループ新社長に十時氏--「成長にこだわる経営でポジティブスパイラルを作り上げる」

 ソニーグループは、4月1日付で、十時裕樹副社長兼CFOが、取締役 代表執行役社長 COO兼CFOに就任すると発表した。取締役 代表執行役会長兼社長 CEOの吉田憲一郎氏は、取締役 代表執行役会長 CEOとなる。

ソニーグループの次期社長兼COOに就任する十時裕樹氏
ソニーグループの次期社長兼COOに就任する十時裕樹氏

 2月2日午後4時から行われた記者会見で十時次期社長は、「成長にこだわる経営を行う。企業や事業は、成長が停滞するとネガティブスパライルに陥る。お客様に選ばれ、社員を元気にするポジティブスパイラルを作り上げていく。いまの事業をそれぞれに強化させ、ソニーグループのパーパスのもとに、事業を進化および成長させるために全力で取り組む」と抱負を語った。

 十時氏は、1964年7月、山口県出身。1987年にソニーに入社。ロンドン駐在を含めて、長年、財務の業務に携わったのち、2002年にソニーを退社し、自らソニー銀行の創業を主導。2002年2月にソニー銀行の代表取締役に就任した。「スタートアップの精神で新たな事業を起こして、経営を行った経験は、いまの経営に対する価値観の基礎を形成している」と振り返る。

 2005年6月にソニーコミュニケーションネットワークの取締役兼執行役員専務に就き、2013年4月には社名変更したソネットエンタテインメントの代表取締役執行役員副社長 CFOに就任した。また、2013年12月にはソニーに復帰し、業務執行役員 SVPに就任して、事業戦略やコーポレートディベロップメント、トランスフォーメーションを担当。2014年11月にソニーのグループ役員に就任するとともに、ソニーモバイルコミュニケーションズの代表取締役社長兼CEOに就任。スマートフォン事業を担当した。

 2016年4月にはソネットの代表取締役執行役員社長に就任。2017年6月にソニーの執行役 EVP CSOとして中長期経営戦略や新規事業を担当した。

 2018年4月にはソニーの代表執行役 EVP CFO、2018年6月には代表執行役専務 CFO、2020年6月に代表執行役副社長兼CFOを経て、2021年4月に、現任のソニーグループ 取締役 代表執行役副社長兼CFOに就いた。

 吉田会長兼社長 CEOとは、同氏がソネット(ソニーコミュニケーションネットワーク)の社長に就任した2005年から一緒に仕事をしており、「外部環境を俯瞰した戦略的な視点から、多くの気づきと学びを得ることもできた」と、十時氏を評し、絶対的な信頼を寄せる。2018年に吉田氏がソニーのCEOに就任して以来、十時氏はCFOとして経営を支えてきた経緯もある。

 十時氏は、「ソニーのパーパスは、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』であり、感動バリューチェーンを広げていく姿勢を打ち出している。これを吉田がしっかりと定義をしてくれた。私は、パーパスを定着させること、具体的なものにしていく。これが、これからのソニーグループが目指す会社の姿である。感動を創り、届けることでビジネスをしている会社であり、これを太く、厚いものにしていく。説明しなくても、そうしたイメージを持ってもらえる会社にしたい」と述べた。

 「現在の事業環境に目を向けると不透明な世界経済、地政学リスク、エネルギー問題、自然環境問題など、不確実性が一層高まっている。また、AIに代表されるような急速なテクノロジーの変化を、事業のさらなる成長につなげることができるか、逆にディスラプトされるかは紙一重であるという危機感もある。こうした事業環境の変化や、技術の大きな変化のなかで、グループとしてのレジリエンスを高めていく鍵は、多様性の進化であると考えている。事業や人材の多様性はソニーのDNAでもあるが、多様性はさらに進化させるべきであり、社内外のさまざまな属性、経験、専門性を持った人材がソニーに集まり、発想や創造力を開放することで未来を共創し、個人も、企業も成長し続ける姿を目指したい。ソニーグループがその多様性を生かし、進化、成長をしつづけることにより、顧客に選ばれ、社員を元気にし、優秀な人材を集め、企業価値を高め、社会に還元するポジティブスパイラルを生み出したい」と話した。

 また、CFOの経験については、「ソニーグループのCFOは、歴史的に役割が幅広く、戦略にも、オペレーションにも関わってきた。そうした経験は、社長になるときには役立つ。全体を俯瞰することや、数字を読み解くこと、事業との対話、投資家との対話においても役に立つ」とした。

「経営の要諦は、勇気と忍耐にあり」

 経営の信条として、「経営の要諦は、勇気と忍耐にあり」をあげ、「リスクを見極めた上で判断し、決める勇気が必要であり、時には逆風や矛盾があっても、それに耐え抜く忍耐力の重要性を感じている。これは自分自身にも言い聞かせている言葉である」と述べた。

 一方、ソニーグループ 代表執行役会長兼社長 CEOの吉田憲一郎氏は、「今回の人事は、グループ経営体制の強化を目的としたものであり、ソニーのさらなる進化と成長を目指すことになる」と説明。「2022年7月に、指名委員会で最初の議論をした。そのときに、十時の強みとして挙げたのは、成長に対する強い意思である。これは経営者にとって重要な資質である。そして、会社の成長が、働く社員の成長にもつながるという思いも持っている。また、各事業のオペレーションに深い理解を持っており、社長およびCOOに相応しいと考えていた」とコメント。「CFOは事業の深い理解が必要であり、COOの職務とも密接に関わる役割であると考え、CFOを兼務してもらうことにした」と述べた。

ソニーグループ 代表執行役会長兼社長 CEOの吉田憲一郎氏
ソニーグループ 代表執行役会長兼社長 CEOの吉田憲一郎氏

 また、「2018年4月以降、CFOとして5年間に渡り、グループの成長戦略を財務面から牽引した。最大の貢献は成長投資へのサポートである。コンテンツIPでは、アニメ配信のCrunchyrollなどのDTC(Direct To Consumer)領域での買収のほか、音楽出版会社のEMIミュージックパブリッシングの買収を、条件交渉を含めてリードしてくれた。また、感動を創るクリエイション半導体と位置づけるCMOSイメージセンサーの需要や競争環境、開発ロードマップについて、事業部側と綿密に議論を重ね、リスクをマネージしながら、投資をサポートした。さらに、現在の中期経営計画における2兆円の戦略投資枠の設定をリードし、これが、グループ全体の成長マインドの向上につながっている。戦略投資の一環と位置づけている自己株式の取得にも取り組んでいる。投資機会や財務状況を勘案しながら、2018年以降に約5000億円の自己株式取得をサポートしてくれた。一方で、ソニー銀行を自ら企画、創業し、代表取締役として経営に携わった経験があり、2014年からはソニーモバイルのトップとして、大組織を直接指揮した経験もある。企業価値向上に向けて、より大きな貢献をしてくれると確信している」と期待を寄せた。

 中期経営計画の期中での社長交代については、「中期経営計画は3年で進めているが、実際の経営はより長い視点でやっている。外部環境の変化が激しく、テクノロジーの大きな変化、地政学リスクの高まりといったなかで、経営体質をより高めるのが狙いである。COOを新たに加えることで、キャピタルアロケーション、事業間連携、事業ポートフォリオマネジメントの着実な実行を強化することが必要であると判断した」と回答した。

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