においを探知するロボットが登場--生物的センサーで犯罪を防止 - (page 2)

Monisha Ravisetti (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2023年02月01日 07時30分

 Maoz氏と同僚の研究者たちによると、動物界において、感覚信号の受信と処理に優れているのは昆虫だという。

 例えば、蚊は空気中に含まれる二酸化炭素の濃度が0.01%違うだけでもその差を感知できるそうだ。これは、現代テクノロジーを駆使したロボットセンサーの能力をはるかに上回っている。「電子的な探知機もあるが、性能は限定的だ」(Maoz氏)。対照的に、バッタの触覚を使用する同氏のチームの装置は、ゼラニウムやレモン、マジパンなど、さまざまなにおいをしっかりと識別できた。訓練を経て、さまざまな種類のスコッチウイスキーを識別することにも成功している。

 テルアビブ大学の生物学者で、この研究の共著者であるYossi Yovel氏は声明の中で、「標準的な測定装置との比較テストの結果、われわれのシステムで使用している昆虫の鼻の感度は、現在使用されている装置よりも約1万倍高いことが明らかになった」と述べている。

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上からの画像
提供:Tel Aviv University

 Maoz氏は、「薬物や爆発物、食品など、特有のにおいによって特定したい物質はたくさんある」とし、チームのロボットの今後のバージョンでは、においによって病気を発見することさえ可能になるかもしれないという。「現在は犬を使用しているが、それをロボットに置き換えることが可能になると考えてほしい」

 この例として、Maoz氏は共著者であるテルアビブ大学のAmir Ayali氏(バッタの生態の専門家でもある)と共に、空港の金属探知機を挙げている。金属探知機は、乗客が金属製のものを持っているかどうかを検知できるが、膨大な費用がかかり、「乗客が麻薬を密輸しようとしていないか確認したいときは、犬を連れてきて、その乗客のにおいを嗅がせなければならない」(Ayali氏)

 誤解のないように説明しておくと、このチームのロボットは開発の極めて初期の開発段階にある。においを探知する警察のサイボーグ犬が実際に空港で使われるようになるかどうかは、今後明らかになるだろう。だがMaoz氏は、それが実現すると信じており、ロボットと生物学的センサーの統合に関して言えば、「可能性は無限大だ」とさえ話している。同氏によれば、ロボットに視覚や触覚を持たせる方法もあるはずだという。


この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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