これからの10年間、さまざまな宇宙機関が初めて火星の石を地球に持ち帰る計画を立てている。米国時間10月25日に学術誌のAstrobiologyに掲載された新しい研究によると、それらの貴重なサンプルを分析することで、驚くべきもの、つまり地球外生命体の証拠がいつか発見される可能性もあるという。
簡単に説明すると、研究者たちの見解では、火星に水が存在した太古の昔、本当に生物が生息していたのだとしたら、それらの生物の多くは、その後の何千年にもわたる火星の有毒な変化に耐え、火星が荒廃した惑星になった今も、元気に生息している可能性があるという。ただし、興奮しすぎてはいけない。
研究者たちは、地中に埋められた生物が最も長く生き残ったはずだと厳密に示唆しており、それらの生物の痕跡がまだ火星の地中に潜んでいる可能性があると考えている。Roscosmosと欧州宇宙機関(ESA)による「ExoMars」など、火星の地中から堆積物を抽出する複数のミッションの計画が進められているので、近いうちに、地球外生命体の証拠が発見されて、人々を驚かせるかもしれない。
ユニフォームドサービス大学保健科学部の病理学者で、この研究の筆頭著者であるMichael Daly氏は声明の中で、「もし過去に火星に生物が存在したとしたら、たとえ現在の火星で生きていける生命体が存在しないとしても、それらの生物の高分子とウイルスははるかに長い間存続するだろう」と述べている。「その仮説が正しければ、火星で生命が進化したかどうかが今後のミッションで明らかになる可能性は高くなる」
実際に、Daly氏の実験的シミュレーションのおかげで、火星で科学的な手法によって掘り出されるのを待っているかもしれない小さな生物(または、少なくともその同胞種)の名前もすでに判明している。それは、「Conan the Bacterium」(コナン・ザ・バクテリア)、略してConanだ。
だが、Conanの説明は、少し後回しにさせてほしい。
それから、重要な補足事項もある。このチームの研究結果では、今後のすべての火星ミッションで、細心の注意を払う必要があることを強調している。基本的に、実験結果を逆に見ると、私たちが何らかの方法で(例えば、宇宙飛行士のブーツや科学機器によって)地球人の細菌で火星を汚染してしまった場合、火星にたどり着いたそれらの微生物は簡単に死滅するわけではないということに思い至る。それらの生物が、手つかず状態の惑星で、極めて長い間生き延びる可能性もある。
ノースウェスタン大学の化学者で、この研究の共著者であるBrian Hoffman氏は声明の中で、「火星での土壌汚染は本質的に永続的なものとなり、何千年も続くだろうとわれわれは結論づけた」と述べている。「このことが原因で、火星の生命を探す科学的な取り組みが複雑なものになる可能性もある」
「同様に、微生物が火星で進化した場合は、現在まで生き延びてきた可能性もある。つまり、火星のサンプルを持ち帰ると、地球が汚染されてしまうおそれもある」(同氏)
火星に定住するという考えに人類が興奮してきているにもかかわらず、(現状の)火星は人類の定住を望んでいないようだ。
現在の火星には、空気がほとんどなく、恐ろしい宇宙放射線を常に浴びている。気温は、最も寒い南極の冬に匹敵する低さだ。
したがって、かつて火星に存在したかもしれない生命が、今日簡単に見つけられるような痕跡を残すことができたかどうかは、かなり疑わしい。おそらく、その痕跡、つまり分子やウイルスなどは、火星が生息不可能な状態へと悪化していく中で、全滅してしまったはずだ。
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