パナソニック ホールディングスとパナソニックくらしアプライアンス社は1月19日、介護施設向けの「排泄センサー」を開発したと発表した。介護業務支援サービス「ライフレンズ」と連携し、排泄記録の自動化を通じて、見守り業務の負荷軽減と、入居者のQOL向上を目指す。3月にライフレンズのオプションとして提供を開始する。
ライフレンズは、パナソニックグループのセンシング技術によって入居者の部屋での状態や生活リズムがリアルタイムで把握でき、他社機器との連携もできるデータ統合プラットフォーム。シートセンサーやAI機能を搭載した「Vieureka」(ビューレカ)などを組み合わせ、センサーと映像センシングで、状況を的確に把握できる次世代型の見守りシステムになっている。
排泄センサーは、着座と排泄物を検知し、便尿の画像を撮影する「センサーヘッド」、センサーヘッドを便器へ取り付ける「取付プレート」、赤外線センサーで入室検知とセンサーヘッドの情報を無線LANでクラウドへ連携する「エッジコンピューター」から構成され、トイレ入退室時刻、着座している時間、排便、排尿回数、便量、便形状などの情報を自動で記録するというもの。導入により、トイレの付き添いを必要最小限にでき、介護職員の負担軽減など排泄記録業務の効率化に結びつける。
パナソニック ホールディングス 事業開発室スマートエイジングプロジェクト総括担当の山岡勝氏は「シート型センサーと映像センシングを活用し、利用者の状態を目になり代わり、安全に管理するのがライフレンズサービス。今までは職員が巡視、安否確認をしていたが、画面を見るだけで全室の状況が確認できる。導入により効率化できた時間は入居者の方のケアにあててもらえる」とライフレンズの役割を話す。
介護施設では、入居者の排泄時刻や回数、量などの排泄記録や排泄パターンを把握するため、トイレの付添や記録が必要とされていたが、デリケートな事案でもあるため、センサーが担えるのは、介護職員、入居者にとっても負担が軽くなるとのこと。
排便、排尿回数、便量、便形状などの情報を自動で記録でき、排便量は3段階、排尿量は2段階で測定し、排便形状も3段階で検知、記録できるという。これにより、日常の行動変化やいつもとの違いを把握できるようになるとしている。
ベッドに敷いて使える排泄センサーなども存在するが「見つけにくいのは自立でトイレにいける方の変化。今まで抜け落ちていた部分をしっかりとセンサーで捉えたいと考え着座して使うタイプのものを開発した。自立でトイレにいける状態をキープしてもらえるようなサポートにもつなげたい」(山岡氏)と開発の背景についてコメント。
すでに、ベネッセスタイルケアの介護付き有料老人ホーム「グランダ四谷」に、先行導入しており、ベネッセスタイルケア 執行役員サービス推進本部本部長介護DX推進部部長の祝田健氏は「自立でトイレにいける入居者の方については自己申告が頼りで、把握することが難しかった。自動的に記録できるため、介護職員は記録のための時間が減る。加えてデータを活用する効果もしっかりと出していきたい」と現状の課題を踏まえて説明した。
排泄センサーの導入は、ライフレンズサービスとの連携が必要になり、単体での使用はできないとのこと。センサーの導入費用のほか、月額1000円のシステム利用料が必要になる。
パナソニック くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 トワレ・電気暖房事業総括担当の島津貴夫氏は「高齢化社会の到来により、介護サービスの利用者は増加している。その一方少子化により労働人口は減少しているという背景の中、介護施設においてサービスの質向上と、職員の方の負担軽減を両立していきたい」とした。
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