「Apple Watch」と「Oura Ring」、睡眠トラッカーとして買うならどっち?

Lisa Eadicicco (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年11月29日 07時30分

 この1週間で、自分の睡眠についてたくさんのことが分かった。例えば、たいていの日は5時間程度の「浅い」睡眠をとっており、平均睡眠時間は7時間だ。

Apple WatchとOura Ring
提供:Lisa Eadicicco/CNET

 なぜ分かったのかというと、「Apple Watch」と「Oura Ring Gen3」を着けて眠りをモニタリングしたからだ。どちらも睡眠習慣に関する統計情報を幅広く教えてくれるが、Ouraはさらに一歩踏み込み、睡眠レポートをコンパクトにまとめた「睡眠スコア」を作成してくれる。

 良い睡眠トラッカーにはいくつかの条件がある。有用なデータを提供できることはもちろんだが、夜通し装着することを考えると、軽量で着け心地が良くなければならない。昼も夜も着けていられるだけのバッテリー駆動時間も欲しい。こうした指標のすべてでOuraはApple Watchをおおむね上回る。バッテリー駆動時間は、長時間バッテリーが売りの「Apple Watch Ultra」よりもさらに長い。Oura RingにはApple Watchのようなディスプレイがなく、接続機能もないため、バッテリーへの負荷が格段に小さい。詳細な睡眠レポートを作成できるだけでなく、こうしたデータをユーザーが理解しやすい形にまとめた睡眠スコアなどの工夫もあり、全体のバランスが優れている。

 しかし欠点もある。Oura Ring Gen3は価格が高い。最安モデルでさえ299ドル(約4万1500円)もする上に、その機能を最大限に活用するには月額5.99ドル(日本では6.99ドル、約970円)のサブスクリプションサービスに申し込まなければならない。これに対して、Apple Watchは睡眠トラッキングを含めて、どの健康モニタリング機能もサブスクリプションを必要としない。今回のレビューで使用したのは399ドル(日本では5万9800円〜)の「Apple Watch Series 8」と799ドル(同12万4800円〜)の「Apple Watch Ultra」だが、249ドル(同3万7800円〜)の「Apple Watch SE」でも同じ睡眠トラッキング機能を利用できる。

 また、Oura RingはApple Watchと違い、睡眠とアクティビティーをバックグラウンドで監視し続ける設計になっている点も注意が必要だ。本体にはディスプレイもボタンもないので、スマートフォンのアプリと同期しない限り、測定データを見ることはできない。

睡眠データ

 Apple WatchとOura Ringはどちらも、睡眠時間や各睡眠ステージの時間を測定してくれる。睡眠ステージには覚醒状態、深い睡眠、レム睡眠、浅い睡眠(Appleでは「コア」睡眠)などがある。

 OuraアプリやAppleの「ヘルスケア」アプリを使えば、睡眠中の心拍数や呼吸の様子も分かる。Apple Watchでも最近、睡眠ステージが分かるようになった。この機能は9月にリリースされた「watchOS 9」によって初めて実現したもので、競合するOuraなどの睡眠トラッカーとの差がぐっと縮まった。

 この2つのデバイスが教えてくれる睡眠関連の情報は似ているが、実際のデータや測定結果は大きく違う。今回のレビューでは5晩にわたってApple Watchを手首に、Ouraを人差し指に着けて眠ったが、結果は驚くほど違った。下の表は、Apple WatchとOuraの2晩分の睡眠データを比較したものだ。

Apple WatchとOura Ringの睡眠データ比較表

 病院などで実施される睡眠ポリグラフ検査の結果と比べなければ、どちらの値が正確なのかは分からない。しかし筆者にとって最も重要なのは、計測結果がどのように表示されるかだ。結局のところ、どんなに充実した統計やグラフも解釈方法が分からなければ意味がない。この点は睡眠スコアを持つOura Ringが一歩リードしている。Appleと異なり、Ouraは合計睡眠時間、睡眠効率、安眠度、入眠時間など、さまざまな要素から睡眠の質を評価したスコアを提供してくれる。つまり、「昨夜はよく眠れたか」という最も重要な質問に明解な答えを与えてくれるのだ。

 Ouraによると、睡眠スコアは85以上が「最適」、70~84が「良好」だ。睡眠スコアが70を下回る場合は、ライフスタイルを見直す必要があるかもしれない。Ouraでは睡眠スコアを確認できるだけでなく、睡眠スコアに影響を与えている要因も週間、月間、四半期の範囲で確認できる。その期間に記録されたワークアウトも表示されるので、睡眠と並行してどれだけ活動的に過ごせたかも分かる。

Ouraの睡眠スコア
提供:Lisa Eadicicco/CNET (screenshot)

 睡眠スコアを提供しているのはOuraだけではない。FitbitやAmazonのウェアラブルデバイスもこうした評価を生成してくれる。筆者は同様の機能をAppleが実現してくれる日を待ち望んでおり、希望はまだ捨てていない。

 Apple Watchの計測データをもとに、「ヘルスケア」アプリのメインフィードには過去7日間の平均睡眠時間といった興味深いデータが表示される。しかし、「よく眠れたか」という具体的な評価は表示されないため、物足りなさを感じることは事実だ。足りない部分はApple Watch向けのサードパーティアプリで補うこともできる。例えば「SleepWatch」というアプリは、睡眠コーチングやiPhoneを使ったいびきのモニタリング機能などを備えている(ただし、すべての機能を使うためには月額4.99ドル(同550円)のプレミアム版を契約する必要がある)。

 しかし睡眠トラッキングに関しては、Appleが非常にうまくやっている分野もある。例えば睡眠習慣の観察結果は「ヘルスケア」アプリのサマリービューに表示され、簡単に確認できる。さらに重要なのは、こうした情報が専門用語ではなく、平易な言葉で書かれており、活用しやすいということだ。

 この機能を使えば、睡眠時の平均呼吸数が過去14日間安定していることなどが分かる。睡眠スコアのような単純明快な指標ではないが、充実した推移データやハイライトはApple Watchの有用性を感じる大きな要因となっている。

ヘルスケアアプリの呼吸数データ
提供:Lisa Eadicicco/CNET (screenshot)

 Appleは、睡眠目標を設定して睡眠習慣を改善することにも重点を置いている。個人的にはあまり活用できていないが、曜日ごとに睡眠スケジュールを設定でき、就寝時間が近づくと通知が届いて、指定した就寝時刻までに眠れるよう促してくれる。Ouraにはここまで細かいツールはないが、就寝時間の1時間前には通知を送ってくれる。Ouraアプリのプロフィールで目標(生産的かつ活動的になる、など)を設定することも可能だ。

バッテリー持続時間と快適さ

 質の高い睡眠トラッカーには、昼も夜も装着し続けられるだけの快適さとバッテリー駆動時間が必要だ。どちらの点でもOuraの評価は高い。小さいので夜通し着けていても苦にならず、バッテリー駆動時間はApple Watchをはるかにしのぐ。夜だけでなく、日中もアクティビティーやワークアウトを記録したいなら、バッテリー駆動時間は重要だ。

Apple WatchとOura Ring
提供:Lisa Eadicicco/CNET

 筆者のOura Ringは1回の充電で5日間持った。ちなみにApple Watch Series 8やApple Watch SEの場合は1日半も使うとたいていバッテリーが切れる。Apple Watch Ultraも3日目くらいでバッテリーがなくなるので、Ouraには及ばない。もっともバッテリーの持ちは使い方に左右されるため、筆者の例が誰にでも当てはまるとは限らない。また、GPSで屋外のアクティビティーをトラッキングしたり、常時表示ディスプレイを有効にしたりしていると、Apple Watchのバッテリー消費は早くなることが多い。Ouraによれば、瞑想セッションや心拍数のリアルタイムトラッキングのような機能もバッテリー駆動時間に影響を与えるようだ。

 今回のレビューでは、Oura RingとApple Watchを着けたまま、スピニングトレーニングや高強度インターバルトレーニング(HIIT)、屋外でのウォーキングを実施した。また、期間中はApple Watchの常時表示ディスプレイは有効にし、低電力モードも使用しなかった。どちらのデバイスも、夜通し睡眠トラッキングを実施するためには少なくとも30%のバッテリー残量が必要だ。

 着け心地は主観に左右されるが、小さいOura Ringの方が快適だと感じる人は確実にいるだろう。筆者はスマートウォッチを長年愛用しているので、Apple Watchを着けたまま寝ても苦にならないが、慣れないと感じる人がいることは理解できる。

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