「Apple Watch SE」と「Series 8」どっちを選ぶ？--選択の決め手は健康管理機能 - (page 2)

高速充電やUWBチップなどの追加機能

　Series 8にしか搭載されていない一部のヘルスセンサーは、SEではなくSeries 8を選ぶ最大の理由となるが、他にも考慮すべき点はある。Series 8は、「Series 6」と「Series 7」の高速充電機能を継承しており、SEよりも短時間で充電できる。バッテリー残量が70％の段階で10分間充電すると、Series 8では80％まで増えるが、SEは77％だ。どちらも充電には付属の充電ケーブル、同じ電源アダプター、同じコンセントを用いた。watch OS9は新しい低電力モードを搭載しており、ワークアウトの自動検出などの機能を控えることで、バッテリー駆動時間を伸ばしている。

Apple Watch SEは高速充電に対応していない
提供：Lisa Eadicicco/CNET

　Series 8もSeries 6、7と同様に、AppleのUWB対応チップ「U1」を搭載している。UWBは近接するデバイスを認識する無線プロトコルだ。上位機種のスマートフォンやスマートウォッチには広く搭載されるようになっており、主にAppleの「探す」アプリを利用して、置き忘れた物やガジェットを探したり、Bluetoothよりも高い精度で車のロックを解除したりするために利用されている。

　UWB対応の車に乗っているなら、Apple Watchを着けて近づくだけで自動的にロックを解除できる。鍵として使う場合も、Bluetoothより安全で精度が高いと言われる。確かに便利ではあるが、必ずしも万人が必要とする機能ではないかもしれない――少なくとも、今のところは。

結論

　Series 8とSEは、主な特長や機能に多くの共通点がある。どちらもワークアウトの追跡や、iPhoneの通知の表示、高心拍数と低心拍数の通知、不整脈の検出が可能だ。緊急SOSの発信や、転倒の検出、自動車衝突事故の検出といった安全機能も備えている。自動車衝突事故検出機能が搭載されているのは、Appleが2022年に発売したスマートウォッチモデルのみとなっている。さらに、足取りを記録する新しい「バックトレース」機能などを搭載した新たな「コンパス」アプリも、この2つのモデルのほか、Series 7、Series 6、第1世代のSEで利用できる。

　また新しいSEとSeries 8はいずれも、Apple Payを利用したり、「Apple GymKit」を通じてApple Watchと地元のジムに設置されているトレッドミルを同期したりできる。プロセッサーも同じなら、低電力モードへの対応や、最新のwatchOS 9アップデートが実行可能な点も同じだ。

　2つの違いは結局のところ、ヘルスケア関連の追跡ということになる。SEを選択した場合、「心電図」アプリや、血中酸素濃度センサー、新しい体温センサーは利用できない。こうした機能が必要かどうかは、単にワークアウトを記録したいのか、ヘルスケアのための詳しいデータを医師と共有したいのか、といったスマートウォッチに期待することによって変わってくるだろう。

　またSeries 8はディスプレイがやや大きく、常時表示が可能で、高速充電やUWB対応チップなどを搭載しているという点で、iPhoneとの相性はSEよりも良いだろう。これらの中で、筆者が個人的に最も便利だと感じているのは、ディスプレイの常時表示機能だ。

　全体的には、長い目で見ればSeries 8の方がより重宝することになるだろう。時間をかけて体温センサーを使ってみた後には特にそう感じた。またUWBチップも、モバイルデバイスをデジタルキーとして使うことが一般的になってくるにつれ、活用できると期待している。しかし現時点では、UWBチップだけでは決定的要素にならないだろう。これらをすべて考慮して総合的に判断するのがお勧めだ。

　ヘルスケア関連の幅広い追跡機能のためなら高い金額を支払っても構わないと考えている向きには、Series 8はお勧めの選択肢だ。一方で、旧モデルから買い替えようとしている人や、Apple Watchを初めて購入する人、新しさが感じられ、基本機能が一通り搭載されているモデルで十分だという人にとって、SEは最善の選択肢になるはずだ。しかし、Series 5など最近のモデルを持っているのであれば、ヘルスケア関連で本当に欲しいと思う新たな機能が登場するまで、購入を控えるのもいいだろう。

Apple Watch Series 8とSEの比較