なぜアドビはFigmaを買収することを決めたのか--幹部の回答、FigmaとAdobe XDの展開は

 Adobeは、9月15日(米国時間)にウェブデザインツールの最大手「Figmaを約2.9兆円で買収する」と明らかにした。Figmaは、Adobe自身がCreative Cloudの一部として提供している同様のWebデザインツールとなる「Adobe XD」の競合とみられており、これまでFigma自身もXDからの移行をユーザーに促してきた歴史もある中で、なぜAdobeがFigmaを買収したのかいぶかる声も少なくなかった。

Adobe MAXで講演するAdobe Creative Cloud担当上級副社長(EVP)兼 CPO(最高製品責任者) スコット・ベルスキー氏(左)のゲストとして呼ばれたFigma CEO ダイラン・フィールド氏(右)
Adobe MAXで講演するAdobe Creative Cloud担当上級副社長(EVP)兼 CPO(最高製品責任者))スコット・ベルスキー氏(左)のゲストとして呼ばれたFigma CEO ダイラン・フィールド氏(右)

 10月18日(米国時間)から米国カリフォルニア州ロサンゼルス市にあるLACC(Los Angeles Convention Center)で行なわれたCreative Cloudの年次イベント「Adobe MAX」で、Adobe Creative Cloud担当上級副社長(EVP)兼 CPO(最高製品責任者)スコット・ベルスキー氏は「FigmaとAdobe XDは相互に補完関係にある。このため双方のユーザーにとってメリットがある」と述べ、AdobeがFigmaを買収した狙いは相互に足りないものを補完し合うことで双方のユーザーに新しい価値を提供することだと説明した。

競合のはずのAdobeとFigmaがなぜ

 Adobeが買収したFigmaは、ウェブデザインなどをクラウドベースで完結できるツールを提供してきたスタートアップ企業。現CEOのダイラン・フィールド氏など創業者は2011年から構想を開始して開発を進め、2015年から本格的なサービスインを行ない、徐々にユーザーを増やし続けてきた。

Figmaの編集画面、編集はすべてクラウドで完結しており、ウェブブラウザーだけで作成から共同編集までこなせる
Figmaの編集画面、編集はすべてクラウドで完結しており、ウェブブラウザーだけで作成から共同編集までこなせる

 Figmaの特徴はすべての作業がウェブブラウザーで完結することだ。デザイナーはPCとファイルを同期する必要がなく、デザインの開始から編集などすべての作業はクラウドベースで行なわれる。また、データがすべてクラウドにあるため、たとえば完成したプレビューを顧客に披露してチェックしてもらうなどの作業も、顧客にFigmaのアカウントを作ってもらい、編集権などを付与することで、すべての作業がクラウドで完結する。そうした「シンプルさ」で顧客から支持を得てきた。

現代のコンテンツクリエーションに不可欠なクラウドベースでの共同編集機能がFigmaの特徴
現代のコンテンツクリエーションに不可欠なクラウドベースでの共同編集機能がFigmaの特徴

 しかし、Adobe自身もこのFigmaに相当するツールをすでにCreative Cloudのツールとして持っていた。XDもFigmaと同じようにウェブデザインツールだが、FigmaとXDの最大の違いは、Figmaがクラウドオンリーのアプリやサービスであるのに対し、XDはクラウド+ローカルのアプリケーションが用意されており、オンプレミスでも利用できるハイブリッド方式にある。

 両者それぞれにメリット、デメリットがある。Figmaのように完全にクラウドへ移行することは、クライアントとの編集プロセスの共有などでハイブリッドに勝る、その反面ウェブブラウザーでの操作になるためアプリケーションとしての使い勝手はローカルアプリに劣る。それに対してハイブリッド方式は、クラウドと常に同期する必要があることはデメリットだが、その反面ウェブブラウザーよりも使い勝手が良い専用アプリの作業は生産性が高い。

 こうした特徴があるため、FigmaはXDに対する利点として、「クラウドと同期する必要がない」ということを訴求してきた。ウェブサイトではFigmaがXDとの比較をし、クラウドとの同期が必要ない利点をアピールしている。

Figmaの利点をアピールしているウェブサイト
Figmaの利点をアピールしているウェブサイト

 このようなページを用意してXDに対する利点をアピールしてきたこともあり、FigmaはXDから乗り換える先として競合視されてきた。そのFigmaをAdobeが買収したのだから、一部からは「競合つぶし」なのではないかという指摘がでたのも無理はない。

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