大阪府とパナソニック エレクトリックワークス社は9月26日、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化推進において、連携協定を結んだと発表した。大幅な省エネルギー化を実現するZEBの理解促進や導入推進に向けた取り組みを実施する。
ZEBとは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支ゼロを目指した建物のこと。パナソニックでは、ZEB実現に向けた相談窓口を持ち、建築設計、設備設計、設計施工、省エネ設計、コンサルティングなどの業務を支援する「ZEBプランナー」に登録しており、現在、30件以上のプラニングを支援している。
今回の連携協定に基づく具体的な取り組みは、ZEB化改修の可能性調査、ZEB化手法の検討のほか、ZEB化の認知度向上と理解促進など。「ZEB化改修の可能性調査は、既存の建物だとコストだけがかかり、実現しないのではという懸念があるかもしれないが、案外そうでもない。建物によってはあまりコストをかけずにZEB化できる可能性もある。そうした視点から提案し、ノウハウを一緒にためていきたい」(パナソニック エレクトリックワークス社マーケティング本部綜合営業企画部電材営業開発グループの小西豊樹氏)とZEBプランナーの視点での提案を多数盛り込んでいく。
パナソニックでは、空調、照明器具など自社製品を持ち、空調機、照明器具などの高効率化をトータルで提案できることが強み。さらに、エネルギーマネジメントシステムによる、設備連携や見える化により、効率の良い省エネ実現を打ち出す。
大阪府では、2030年度の府域の温室効果ガス排出量を2013年度比で40%削減することを目標に据えている。2019年度の温室効果ガス排出量は4284万トン(2013年度は5623万トン)で、2013年度比で23.8%まで削減できているとのこと。今後の取り組み内容については、再生可能エネルギーを含むCO2排出の少ないエネルギーの利用促進、輸送・移動における脱炭素化に向けた取り組み促進、森林吸収・緑化等の推進などに加え、事業者における脱炭素化に向けた取り組み促進を挙げる。これから建てられるビル等の多くは2050年にも存在することから、新築建築物を中心にZEB化を促進していく必要があると位置づける。
大阪府副知事の田中清剛氏は「大阪府では、温室効果ガス排出量削減に加え、省エネルギーや省資源、再生可能エネルギーの利用などによって、2030年度に二酸化炭素排出量実質ゼロを目指している。この実現のためには、民間事業者と行政が一丸となって取り組む必要がある。今回の連携が実り多いものになるよう期待している」とコメントした。
今回の連携はパナソニック側から大阪府にアプローチし、実現したもの。「パナソニックから提案された内容が、大阪府が描くZEB化の考え方、効果などと一致していた」(田中副知事)とのこと。大阪府では7月に、府域の2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指し「おおさかカーボンニュートラル推進本部」を設置。「脱炭素ビジネス、行動変容・再エネ促進、率先取り組みを3つの柱となる施策に据えたほか、ワーキンググループも立ち上げ、持続可能な経済成長と地球温暖化対策を推進している」(大阪府 脱炭素・エネルギー政策課長の水田克史氏)と独自の取り組みも進める。
パナソニック エレクトリックワークス社副社長でマーケティング本部本部長の稲継哲章氏は「双方の資源、ノウハウを活用し、既存建物のZEB化を推進し、全国に先駆けたモデルをつくる。大阪府と共同で取り組むことで、大阪府の脱炭素に貢献する。パナソニックでは、2027年度までに近畿地区の既存建物ZEB化を、可能性調査100件、受注金額30億円を目指す」とした。
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