その中でも目立っていたのはやはり楽天モバイルである。同社は代表取締役社長の矢澤俊介氏が直接登壇。現状の周波数免許割当ての少なさや、完全仮想化ネットワークを構築し海外事業者にもそれを提供している技術的優位性など、楽天モバイルにプラチナバンドを早期に割当てることが必要な理由について訴えただけでなく、その割当てを早期、より具体的には1年以内に実現するよう要求していたのだ。
だが矢澤氏の発言を振り返ると、全体的に強い口調で他社の対応を批判し、プラチナバンドの割当てをかなり急いでいる印象も受ける。そのことを示しているのが「レピーター」と「受信フィルタ」を巡るやり取りだ。
他の3社の主張によると、楽天モバイルの提案する案を実現する上では、電波を増幅し電波の届きにくい場所に届けるレピーターを周波数分割した新しいものに交換しないと、楽天モバイルに分割した分の電波も増幅してしまうため電波法違反になってしまうという。また分割した周波数同士が干渉して通信速度が落ちないよう、基地局に受信フィルタを設置する必要もあるとしており、それらの設置にかなり時間を要することから移行には10年近い時間がかかるとしている。
だが矢澤氏は、レピーターの交換については個人宅であれば郵送で対応できることから「1年あれば十分できる」と主張。受信フィルタの設置に至っては「国際基準で見ても必要ない」と話し、受信フィルタの設置が必要とする根拠となる実証実験の結果を他社が提出しないことについて「春から求めてきたが、未だに結果が出ていないことは甚だ疑問だ」と強く批判していた。
また矢澤氏は、3社が多くの周波数を用いて多額の利益を出していることから「既得権益の世界に入ってくる」とし、赤字が続いている楽天モバイルが再割当てに向けた対策の費用を負担するのは「制度的に全くおかしな話だし、納得できるものではない」と主張。改正電波法による競願で新たな免許を獲得した場合は既存の免許人が原状回復すべきとされていることから、費用は既存の3社が負担すべきとしている。
さらに矢澤氏はより踏み込んだ策として、3社から分割しての再割当てが不調に終わった時は「1社、2社にターゲットをロックし再割当て申請しようと思っている」とも発言。その際は20MHz幅の再割当てを要求、つまり特定の1社に現在割当てられているプラチナバンドのほぼ全てを奪うことも視野に入れていることを明らかにしており、「3社から5(x2MHz幅ずつ)がいいのか、1社狙い撃ちの方がいいのか」と矢澤氏が3社に迫る場面も見られた。
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