サムスンは8月10日に開催した新製品発表会で複数の新デバイスを発表した。いずれも8月26日に発売される予定だ。ラインアップは「Galaxy Z Fold4」、「Galaxy Z Flip4」、「Galaxy Watch5」、「Galaxy Watch5 Pro」、そしてワイヤレスイヤホンの「Galaxy Buds2 Pro」である。発表会の終了後間もなく、筆者の手元にGalaxy Buds2 Proのレビュー用サンプルが届いた。
この新型イヤホンを1週間にわたり、思いっきり使ってみた。Z Flip4で音楽を聞く時はもちろん、「YouTube」の動画を観る時も使った。これまでのところ、Galaxy Buds2 Proはハイエンドのワイヤレスイヤホンの名に恥じない働きを見せてくれているが、1つだけ例外があった。
Galaxy Buds2 Proを試用した1週間は、2度ほど飛行機で長距離の移動もした。この経験から、Galaxy Buds2 Proは筆者の知る限り、最も快適なワイヤレスイヤホンだと断言できる。筆者の場合、イヤーチップはデフォルトで装着されていたMサイズをそのまま使用できた。製品パッケージにはMサイズの他にLサイズとSサイズのイヤーチップ、そしてUSB-C to USB-Cの充電ケーブルが同梱されていた。
Googleの「Pixel Buds Pro」やAppleの「AirPods Pro」と比べると、サムスンのイヤホンは独特の形状をしている。イヤーチップの外側に耳の形にフィットするへこみがあり、一番外側にはタッチパッドを搭載した大きな部分がある。
数時間着けたままでも耳が痛くなったり、違和感が生じたりすることはなかった。耳から落ちそうに感じることもなかった。これはPixel Buds Proよりずっと軽量に感じられるせいかもしれない。Galaxy Buds2 Proは片方で5.5gしかない。Pixel Buds Proは6.2gだ。大きな違いではないが、体感はかなり違う(この記事を書くまで重量は調べていなかったので、プラシーボ効果ではない)。
Galaxy Buds2 Proは、「Pro」と銘打たれたワイヤレスイヤホンの定番機能を一通り備えている。素早いペアリング、周囲の音を遮断するアクティブノイズキャンセリング(ANC)、そして周囲の音を取り込むアンビエント(トランスペアレンシー)モード。どの機能も期待通りに動作し、AirPods ProやPixel Buds Proと比べても見劣りしない。
ANCは、メカニカルキーボードの打鍵音や、オフィスのエアコンの動作音を遮断できるくらい強力だ。にぎやかな空港内やフライト中も、はっきりとした違いを感じられた。延々と続く飛行機のエンジン音を完璧に遮断することはできなかったが、機長のアナウンスや、ドリンクを尋ねる客室乗務員の声は聞こえなかった。アンビエントモードにすると、たくさんの音が入って来るが、音楽のボリュームをかなり下げない限り意味はない。そうしないと、アナウンスの内容などは聞き取れなかった。
Galaxy Buds 2 Proは、ユーザーの話し声を検知すると自動的にアンビエントモードを有効化し、オーディオの音量を下げる「音声検出」機能を備えている。ユーザーの声がすると、誰かと話をしていると判断して、相手の声が聞き取りやすいよう音を自動調整してくれるのだ。ユーザーの声が10秒間検出されないと、音の設定は元に戻る。
何度か簡単なテストをしたが、音声検出は毎回正しく動作した。筆者が話を始めるとすぐに反応し、部屋の向こうにいる人の声が聞こえるくらい、すべての音量を下げてくれる。タイムアウトの時間はデフォルトでは10秒だが、5秒か15秒にも変更可能だ。ただし、それ以上長くすることはできない。最初、15秒は短すぎるのではないかと思ったが、旅先で色々な人と話をしてみて、15秒は次に言葉を発するまでの時間としては絶妙な長さであることが分かった。イヤホンを着けたまま食事を注文したり、ゲート係と話をしたりしたが、聞き逃したことは一度もなかった。この機能はすごい。
Galaxy Buds2 Proは「360オーディオ」にも対応している。これはAppleの「空間オーディオ」に似た機能で、音楽を聴いたり、動画を観たりしている時に、全方位から音に包まれているような体験ができる。サムスンの360オーディオは、Appleの空間オーディオほどの臨場感はないが、360オーディオを有効にしていることを忘れて顔の向きを変えた時に、特定の楽器の音が際立って聞こえてくることが何度もあった。
音声検出と360オーディオはどちらもデフォルトでは無効になっているので、使用する場合は「Galaxy Wearable」アプリで有効にする必要がある。
音質面では、24bit Hi-Fiサウンドに対応した。しかし、この機能の恩恵を受けるためには24bit Hi-Fiに対応した音源やストリーミングサービスが必要だ。筆者はどちらも持っていないので標準的なオーディオ体験の話しかできないが、ANCやアンビエントモードと同様に、Galaxy Buds 2 Proの音質は他のハイエンドのワイヤレスイヤホンと遜色なかった。
期待を下回ったのはバッテリー駆動時間だ。自宅や場合によってはオフィスでも、2、3時間おきに休憩を取り、イヤホンを充電ケースに戻せる環境であれば、バッテリーは十分だ。しかしニューヨークへの移動中、ANCを有効にした状態で3時間ほど使い続けたところ、イヤホンが左右両方とも動作しなくなった。復路では、バッテリーへの負担をなるべく減らすために音声検出と360オーディオを無効にしたところ、4時間連続で使用できた。しかしANCを有効にしている限り、いずれにしても公表値である5時間の連続使用はかなわなかった。
充電ケースに入れてしまえばバッテリーはすぐに復活するので、使用できない時間はごく短い。しかし、コロラドからニューヨークへの長距離フライト中、イヤホンのバッテリーは持つだろうという期待は打ち砕かれた。
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