米国時間8月10日のイベント「Galaxy Unpacked」で、サムスンは新しいスマートフォン「Galaxy Z Fold4」について、ソーシャルメディアを支配し、皆が折りたたみスマートフォンに期待する強力なマルチタスク機能を備えるだけでなく、Microsoftが数年前から「Surface Duo」シリーズで目指してきた、極めて優れた生産性をもたらすスマートフォンでもある、と紹介した。興味深いことに、Galaxy Z Fold4は、ほかでもないMicrosoftの助けを借りて、それを実現している。
Microsoftはサムスンと提携し、「Microsoft Teams」や「Outlook」を含む完全な「Office」スイートのカスタマイズ版をGalaxy Z Fold4に提供した。このカスタマイズ版のフォーマットは、Galaxy Z Fold4の大きな画面を最大限に活用し、2画面のマルチアプリ体験を提供する。これにより、ユーザーがノートPCを家から持ち出さなくても、スマートフォンだけで仕事ができるようになることを両社は期待している。
ここで、疑問が生じる。Surface Duoシリーズは終わってしまったのだろうか。Microsoftは負けを認めて、スマートフォン分野への参入がまたしても失敗に終わったことを、サムスンに力を貸すことで穴埋めしようとしているのだろうか。そのように見えるかもしれないが、答えはそれほど明白ではない。Microsoftがスマートフォンへの野望を決して諦めようとはしていないサインとも取れる。
サムスンは8月10日のGalaxy Unpackedで、Google、Microsoftの両社と提携し、「Android 12L」を搭載するGalaxy Z Fold4に両社のアプリのカスタマイズ版を提供することを発表した。これらのカスタマイズ版アプリには、「YouTube」や「Gmail」「Word」、(先述した)Microsoft Teamsなどがある。また、タブレット風のメインディスプレイの下部には新たにタスクバーが追加され、ドラッグ&ドロップで複数のアプリを同時起動することもでき、PCのようなマルチタスク体験を実現している。プロフェッショナルユーザーと忙しい消費者の両方を取り込むことを狙った製品だ。
同様に、Metaおよび「TikTok」とも提携して、それぞれのソーシャルネットワーキングアプリやメディアアプリのカスタマイズ版を開発し、アプリを横に並べるレイアウト(基本的に、2台のフルサイズのスマートフォンを横に並べて持つのと同じ)を利用できるようにした。このデュアルスクリーン風レイアウトのおかげで、片方でチャットをしながら、もう片方でゲームをプレイしたり、生産性にフォーカスしたアプリを2つ同時に開いて作業したりすることが可能になった。
このデュアルスクリーン風レイアウトについて、どこかで聞いたことがあると感じている人もいるだろう。それは、独立した2つのディスプレイを採用すれば、最高の形で生産性と柔軟性の向上をユーザーに提供できると考えて、MicrosoftがデュアルスクリーンをSurface Duoの設計理念の中心に据えたからだ。米ZDNetに寄稿するMary Jo Foley氏は、それを証明しようとする初代Duoの試みには説得力がないと評した。「Surface Duo 2」もそうした評価を改善することは、ほとんどできなかった。それから数年後の今、サムスンはデュアルスクリーンが決して望ましい方法ではなかったということを、説得力をもって主張している。
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