欧州議会は現地時間7月5日、デジタルサービスを規制する2つの法案を可決した。これにより欧州連合(EU)は、IT大手各社とインターネットを包括的に規制する計画の実行に一歩近づいた。
可決されたのは、インターネットユーザーの権利を保護するデジタルサービス法(DSA)と、デジタル分野における公正かつオープンな競争を生み出すことを目指すデジタル市場法(DMA)。両法案は、ソーシャルメディアとオンラインマーケットプレイスを含む、全てのデジタルサービスを対象とした一連の新しい規則を示すものだ。
欧州議会の議員らは、フランスのストラスブールで5日午前、両法案の採択を賛成大多数で可決した。DSAは賛成539票(反対54票、棄権30票)、DMAは賛成589票(反対11票、棄権31票)で可決された。EUの立法手続きの次の段階は、EU理事会による両法案の採択だ。法案はその後、秋に施行される見込み。
両法案は、巨大IT企業に責任を課し、法を順守しない企業に巨額の制裁金を科すための、EUの過去最大規模の取り組みだ。DMAに違反した場合は世界売上高の最大10%、DSAに違反した場合は6%の制裁金を科される恐れがあり、その金額は数十億ドルにも達する可能性がある。
世界中の国々が、インターネットの最も適切な規制方法を模索する中で、欧州は、巨大IT企業を規制して、インターネットユーザーの権利を保護する法律を定めることにより、この分野で一貫した主導力を示してきた。そうした取り組みのすべてを、あらゆるハイテク企業や批評家が成功とみなしているわけではない。しかし、それらはハイテク企業のポリシーの方向性と、米国など他の国々による独自の法律策定の動きに、多大な影響を与えている。
今回可決された新しい法案は、今後数年間のハイテク企業の行動にさまざまな形で影響を与える可能性がある。DMAによってEUは、ハイテク企業が規模に関わらず公平に競争できる環境を構築することを目指しており、企業はメッセージングアプリの相互運用を可能にするよう求められる可能性がある。DSAは、特定の種類の広告をプラットフォーム上に掲載することを禁止し、子供向けのターゲット広告や、ユーザーの民族性や性的指向に合わせたターゲット広告が排除されることになる。
「単一のデジタル市場がついに構築されることになる。それは、『自由な世界』において最も重要なものだ」と、欧州委員会の域内市場担当委員を務めるThierry Breton氏は5日に述べ、「同じ当然の規則が、EU全域の4億5000万人の市民に適用され、より安全で公正なデジタル空間が全ての人々に提供される」とした。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」