半導体設計大手の英Armは現地時間6月28日、次世代のモバイルGPU「Immortalis-G715」を発表した。ハードウェアでレイトレーシングをサポートしたほか、パフォーマンスを15%高めており、2023年にリリースが見込まれる各社の「Android」搭載スマートフォンにおけるゲーム体験が向上するとしている。
ハードウェアにレイトレーシング機能を実装するチップセットに関しては、Apple、Google、Qualcomm Technologiesはまだリリースしていないが、Armが初というわけではない。最初にリリースしたのはサムスンで、2022年に入って発表した「Galaxy S22」では、一部のモデルでハードウェアにレイトレーシング機能を実装した同社のチップセット「Exynos 2200」を搭載した。したがって、Armはわずかに遅れた2番手ということになる。リアルな照明効果を生成するレンダリング技法であるレイトレーシングは、デスクトップゲームではここ数年にわたり最高水準のパフォーマンスを提供してきたが、この技術を搭載した主要なモバイルチップセットはサムスン以外発表していない。
Armのプレスリリースによると、スマートフォン向けチップセットでは、2021年に発表したGPU「Mali-G710」などでソフトウェアベースのレイトレーシングをサポートしているが、ハードウェアに実装することで「よりリアルで没入感のある体験」につながるという。
Immortalisには、別の新しいモバイルゲーミング技術である可変レートシェーディング(VRS)も搭載されており、動きのある箇所のみグラフィックスを鮮明にし、背景の要素を低解像度でレンダリングすることにより、フレームレートを40%向上させている。
Armは、Immortalis GPUを搭載した最初のスマートフォンが2023年に出荷されると予想している。同社はチップメーカーがArmのGPU設計をチップセットに使用できるよう各社にライセンス供与しており、たとえばMali-G710の設計はMediaTekのチップセット「Dimensity 9000」に採用され、OPPOの主力スマートフォン「Find X5 Pro Dimensity Edition」に搭載されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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