言うまでもないことだが、従来のソーラーパネルが生み出した電気のうち、夜間に発電されたものはない。だが、そんな常識が覆される可能性があることが、新たな研究で示された。
スタンフォード大学の研究者らは市販のソーラーパネルを改造し、放射冷却のプロセスを利用して、夜間に少量の電気を生じさせることに成功した。この研究成果は4月、学術誌「Applied Physics Letters」に掲載された。
プロジェクトを率いる研究者のShanhui Fan氏はこう語る。「重要な再生可能エネルギーの源として、私たちが思い浮かべるのは、まず太陽だろう。だが、宇宙空間の寒さもまた、極めて重要な再生可能エネルギーの源なのだ」
改造されたパネルの発電量は、昨今のソーラーパネルが日中に生み出す電気の量に比べれば微々たるものだ。それでも、とりわけ電気需要がはるかに低い夜間には、そうした電気がやはり役立つかもしれないと、研究者らは期待している。
改造されたソーラーパネルは、夜間に太陽光発電を行うわけではない。研究者らは、太陽光の代わりに、放射冷却を利用する技術を追加した。
夜間に物体が空を向いていると、物体は宇宙空間に熱を放射するため、周囲の気温より低くなることがある。この作用は、もちろん建物の冷房にも応用できるが、温度差を利用して発電することも可能だ。
電気工学の教授であるFan氏らの研究チームは、この温度差発電の技術を市販のソーラーパネルに追加し、少量の電気を夜間に生じさせることに成功した。
改良したパネルの夜間の発電量は、1平方メートルあたり50ミリワット(mW)で、市販のソーラーパネルが日中に発電できる量よりははるかに少ない。ある市販のソーラーパネルの発電量を概算すると、1平方メートルあたり200W近くになる。1Wは1000mWに等しい。
「つまり、発電量はかなり少なくなる」とFan氏は認めるが、「低出力密度の用途には有効かもしれない」としている。たとえば、夜間の照明、機器の充電、センサーや監視装置の常時オンライン接続といった用途が考えられるという。
Fan氏によると、この改造は市販のソーラーパネルに施されたもので、技術が広く普及する可能性があることを意味している。また、設計を改善することで、発電量を増やせる可能性があるという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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