ドローンが戦争のルールを変える--ウクライナで明らかになった実力

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年04月15日 07時30分

 ウクライナの非営利組織Come Back Aliveは、ロシアの侵攻に抗戦する兵士のために、弾薬、ライフルスタンド、無線機器などの調達を支援している。一方で、戦争に使うというより、むしろ迫力のある「YouTube」動画を撮影することでおなじみの機器も調達した。DJIのドローン「Mavic 3」を24台だ。

gif_1Switchblade 600ドローンがチューブから射出されて羽を広げる様子。装甲車への攻撃が可能なこの機種が、米軍からウクライナ軍へ提供されている。
提供:AeroVironment

 「ドローンはわれわれの目だ」と、あるウクライナ陸軍士官は話す。この士官は、2015年からドローンを扱っており、保安上の理由から匿名という条件で取材に応じてくれた。同士官によると、ウクライナ陸軍は公式のドローンユニットを保有しておらず、兵士や民間人がドローンを使って、隣村の様子や、1km先の路上を偵察しているのだという。「ロシア軍が砲撃の準備に入ったら、民間人を避難させることができる(中略)。予防的攻撃に出れば、ウクライナの人々を救えるかもしれない」

 商用のクワッドコプターから、固定翼型の軍用モデルまで、ドローンはウクライナにとって重要であることが明らかになってきた。火力で劣るウクライナ軍が、圧倒的なロシア軍を防げる可能性が少しでも高くなるからだ。戦争が始まって間もない頃、Aerorozvidkaという民間のドローンチームが陸軍部隊と協力して、首都キーウに向かう装甲車両団を足止めする手助けをした。夜間になると、ドローンが先頭車両に小型の爆発物を投下し、地雷の効果もあわせて、玉突き事故を起こさせた。また、このチームは、ロシア軍がキーウ近郊の空港を占拠しようとした最初の試みを退けるのにも一役買っている。

 広義の無人航空機が初めて戦争に使われたのは、はるか昔、1849年のことだった。第二次世界大戦中には、日本が太平洋を越えて米国まで風船爆弾を飛ばしている。「ドローン」という言葉は、General Atomicsの大型ドローン「MQ-1 Predator」と「MQ-9 Reaper」を米軍がアフガニスタンとイラクで戦線に投入してから、一般にも知られるようになった。2011年の時点で、米陸軍は巨額の費用を要するこの大型システムを1万1000機保有していた。

 だが、片や軍事予算の乏しいウクライナ、片や巨大な軍事力を擁するロシアというこの非対称戦争ほど、ドローンが重要な役割を果たしたことはなかった。小型化によって、商用ドローンのコスト、飛行時間、航続距離は向上した。一方、ウクライナは軍用ドローンを利用して、膨大な費用がかかるロシアの装甲車両に見事に対抗している。ドローンが、戦争のルールを書き換えつつあるのだ。

 「かつては、戦車が重要だった」。こう語るのは、RAND Corporationの軍事研究家、John Parachini氏だ。「今では、ドローンがそれ以上に決定的な武器システムになっているのかもしれない」。

 商用ドローンが活躍するのは主に偵察だが、ウクライナの軍用ドローン群は、実際の攻撃でも有用性を実証している。ロシアの弾薬補給車と地対空ミサイルランチャーの破壊には、トルコ製の大型ドローン「Bayraktar TB2」が使われた。ウクライナの企業UA Dynamicsが開発した「Punisher」は、目立ちにくい偵察ドローンだが、4ポンド(約1.8kg)の爆弾を運ぶこともできる。米国防省は、米国のメーカーAeroVironmentが製造する小型の軍用ドローン「Switchblade」と「Puma」を100機以上ウクライナに輸出している。

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ウクライナ軍がBayraktar TB2の訓練を実施したのは2021年のことだが、現在この機種はロシア軍との戦闘に利用されている。
提供:Getty Images

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