Googleの兄弟会社でドローンによる配達を手がけるWingが今週、テキサス州ダラス地域の住民向けに、複数企業の荷物の配達を開始する。10年前に考案されたサービスが劇的な拡大を遂げている。
Wingは米国時間4月7日から、薬局チェーンWalgreensの荷物をダラス北部のリトルエルムとフリスコの住民に配達する。ダラス・フォートワース都市圏に属する郊外のエリアだ。さらに、この地域では近く、Blue Bell Creameriesのアイスクリームや、easyvetのペット用処方薬、Texas Healthの救急箱などの配達サービスも開始する。
Wingは、「4月7日より、リトルエルムとフリスコで開始するが、長期的にはダラス・フォートワース都市圏周辺でさらに多くの人々にサービスを提供することが目標だ」としている。
ドローンは交通渋滞に巻き込まれず、道路や住宅の上を素早く移動できるため、トラックや自動車より迅速な配達が期待できる。しかし、ドローン配達が広く成功を収めるためには、規制や安全上の課題を乗り越えなければならない。
テキサス州にサービスを拡大するWingは、ドローンによる空からの配達の経験を積み重ねてきた。同社によると、これまでに配送は20万回を達成しており、オーストラリアの首都キャンベラなどで1日1000回の配達をこなしている。フィンランドの首都ヘルシンキやバージニア州クリスチャンズバーグでも配達サービスを提供している。
ただしダラス・フォートワース都市圏は、Wingがこれまでサービスを提供してきた地域に比べて空が混みあっている可能性がある。人口約700万人で、Wingによると空域がはるかに複雑だという。
規制当局の承認を得やすくするためか、Wingは小売店の従業員が注文を処理してドローンに荷物を搭載し、店舗から直接玄関先へ届けるアプローチを採用した。飛行中のドローンはWingが監視する。
Wingのドローンは、1度に1個の荷物を運び、上向きの12枚のプロペラを使って「ネスト」(発着拠点)から垂直に飛び立つ。そこから従来型の4枚の翼を使い、最大約104kmの時速で機体を水平方向に加速する。従来のクアッドコプター型ドローンに比べて静かでエネルギー効率が高い。目的地に到着すると、約7mの高度でホバリングし、顧客の裏庭にケーブルで荷物を降ろす。
クリスチャンズバーグでのドローン運用に関するバージニア大学の調査では、回答者の87%が、ドローン技術に肯定的な見解を抱いていた。
Wingのドローンは、書籍1冊やコーヒー1杯といった小荷物を配達できる。顧客は「Wing」アプリを使ってスマートフォンから注文する。同社によると、配達料金の上乗せはないという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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