ドローンが戦争のルールを変える--ウクライナで明らかになった実力 - (page 2)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年04月15日 07時30分

 ウクライナは1000機ほどのドローンを戦争に投入していると、取材に応じた陸軍士官は見積もっている。同士官によると、その多くは「玩具」だが、「持っているものは何でも使う」という。

 The Business Research Companyによると、軍用ドローンの売り上げは、毎年約7%の率で成長し、2021年の130億ドル(約1兆6300億円)から、2026年には180億ドル(約2兆2600億円)に達する見込みだという。

米国のドローンメーカーもウクライナに関与

 米国の他のドローンメーカーも、人道的な用途、あるいは戦闘外の用途でウクライナにドローンを提供している。

  • Draganflyは、ドローン10台を販売したうえで、血液やワクチン、抗生物質、インスリンなど冷蔵を必要とする医療品の配送用として3台を寄付した。この取り組みのための同社との提携には、Coldchain Technology ServicesRevived Soldiers Ukraineも参加している。一部のドローンはLiDARと磁気センサーを搭載し、地雷も感知できる。同社の最高経営責任者(CEO)のCameron Chell氏によると、8月までに200台を送る計画だ。
  • Aquiline Dronesは、同社の2999ドル(約38万円)のドローン「Spartacus Hurricane」40台をウクライナに寄付した。CEOのBarry Alexander氏によると、その用途は調査、探索、救助、医薬品や水などの救援物資を送ることだという。同社は寄付を募り、1000台をウクライナに届けたいとしている。
  • 自律飛行で木々や家屋をよけるドローンを作っているSkydioのCEO、Adam Bry氏は、同社がウクライナでの人道支援や救助支援を目的として10台以上、総額10万ドル(約1255万円)相当を寄付したと述べている。Skydioのドローンは商用が中心だが、偵察用として米陸軍にもドローンを販売している。

 「攻撃を受けた場合、最初に実行するのは、身を守ることと、攻撃元を確認することだ」と、Skydioで連邦政府への営業を担当するChuck McGraw氏は言う。同氏は、イラクやアフガニスタンなどで米海軍特殊部隊のドローンを配備したこともある。「ドローンは60秒で離陸可能で、すぐに危険を監視できる」

 RAND CorporationのParachini氏は「ロシアはこの競争に若干出遅れており、ウクライナは極めて独創的であることを実証した」と指摘している。

 ドローンによるウクライナの優位は、恒久的なものではない。軍は、ドローンを破壊したり、ドローンが利用する無線通信を妨害したりする新しい技術を投入するからだ。また、Parachini氏によると、ロシアの防空システムはウクライナで想定されたほどうまく機能しなかったようだが、軍は対ドローン技術に投資を続けているという。

 ウクライナ陸軍士官は、ドローンを戦争で使うのは危険だとしている。敵は、ドローンが離陸するのを目視すれば、操縦者を狙うことができるし、DJIの「AeroScope」技術を使えばドローンの位置も特定できるからだ。「ウクライナには、こんなジョークがある。『新しくネズミが現れるたびに、誰かがネズミ捕りを作る』と」(同士官)

 DJIは、コメントの要請に対して返答を寄せていないものの、ウクライナからの批判に対しては、同社のドローンを軍事利用することは「不適切だ」とTwitterで返信している。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]