Adobeは米国時間3月15日、3回目となる年次のオンラインイベント「Adobe Summit」開催にあわせた、「Adobe Experience Cloud」のアップデートなどを発表した。
エンタープライズ向けの顧客データプラットフォーム「Adobe Real-Time CDP(Customer Data Platform)」や、メタバース、ヘルスケア向けの施策を強化。デジタルエコノミーにおける各顧客の“パーソナライゼーション”を強化するという。
Adobe Experience Cloudの大きなアップデートの1つは、顧客を管理するためのプラットフォームAdobe Real-Time CDP(Customer Data Platform)の強化だ。
ウェブ顧客のパーソナライゼーションを支援する「Adobe Target」との連携を強化し、数百万ユーザーのウェブにおける顧客体験をミリ単位でパーソナライズできるという。デジタルエコノミーで求められるスピードと規模で、コンテンツと顧客体験を提供できるとしている。
そのほか、同意管理プラットフォーム「One Trust」と連携。同意データを直接Adobe Real-Time CDPへ取り込めるようになり、プライバシーに配慮したパーソナライズができる。
データの収集、イベント転送機能の「Real-time CDP Connections」では、収集、エンリッチメント、配信の一連の流れを高速かつローコードで利用可能になる。顧客の行動やイベントに基づくリアルタイムなパーソナライゼーションにかかる時間を短縮するという。
AIエンジン「Adobe Sensei」の活用も強化する。企業に対してコンテンツのパーソナライズだけでなく、収益と顧客行動の予測、データから施策に結びつけられるインサイトの取得などを提供するという。
メタバース向けの対応としては、Adobe Experience Cloudを、「Adobe Creative Cloud」と統合していく。まずは「Adobe Commerce」「Adobe Experience Manager」「Adobe Analytics」などを統合し、コンテンツの制作、エフェクトの適用などにおける3D機能の統合を強化する。
そのほか、2022年中に「Substance 3D Collection」を刷新。機能を拡張するとともに、モデリングツール「Substance 3D Modeler」を追加する。さまざまな企業とのコラボも実施していくという。
医療や保険、薬局といったヘルスケア業界向けには、特化した「Adobe Experience Cloud for Healthcare」を提供する。センシティブなデータを安全かつパーソナライズさせて活用できるプラットフォームになるという。
アドビ DXインターナショナルマーケティング本部 執行役員 本部長を務める祖谷考克氏は、今回のアップデートに伴う背景として、オンライン消費動向を追跡するアドビデジタルエコノミーインデックスによる、米国のオンライン支出が2022年に1兆ドルを超えるという予測を紹介。デジタルを中心とした経済活動の拡大に伴い、決済の選択肢、利便性といった消費者からのニーズが拡大しているという。
「消費者の71%が、適切な時間と場所で提供される関連コンテンツ、つまり“パーソナライズ”されたコンテンツが、ブランドの信頼性を高めると答えている。一方、消費者と無関係、または設定を無視したような連絡などの、“不適切”なパーソナライゼーションは信頼の喪失につながる」(祖谷氏)。企業の一方的な目線ではなく、消費者ごとのプライバシーや安全性、利便性などを考慮した、適切なパーソナライゼーションの必要性を訴えた。
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