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「ラブライブ！」京セラドーム大阪でのニジガク4thライブで見た“12人12色で彩ったステージ” - (page 3)

佐藤和也（編集部）2022年03月12日 08時30分

特集

　濃密ともいえる空間から一転して、楠木さんがトロッコから「ヤダ！」を歌う。ライトノベル研究部による「萌え」を詰め込んだ作品をイメージした楽曲となっており、楠木さんは握った手を顎のあたりに近づけたり、ハートマークを作るなど可愛らしいしぐさをしたり、サビのところでは“ヤダ”を示すようなバツ印のポーズを決めたり、いろんな場所で“萌え”を伝えるように歌う。その姿はせつ菜が特訓として“お姉ちゃんが大好きな、わがままでかわいい妹”になりきっていた姿をほうふつとさせるもの。本気系スクールアイドルせつ菜による、全力できゅんきゅんさせるパフォーマンスを見せていた。

「ヤダ！」

楠木ともりさん（優木せつ菜役）

　ソロ曲とユニット曲パートの最後に登場したのは大西さんで、歌ったのは「Break The System」。SF研究部が制作する、タイムリープを繰り返して世界を救うストーリーをイメージした楽曲。これまでは王道アイドル曲のイメージがあるところからは一風変わった、SFがイメージできる疾走感あふれる楽曲。かわいさがあるなかでも信念を感じる力強い歌声にキレのある振り付けやダンス、さらに炎が吹きあがる演出も相まって熱いステージに。まごころ系スクールアイドル歩夢の秘めた凛々しさと、カッコよさを解放するような姿を見せていた。

「Break The System」

大西亜玖璃さん（上原歩夢役）

　実に16曲連続となったソロ曲とユニット曲のパートを終えると、12人が個別の新衣装で勢ぞろい。その新衣装をまわって見せるなか、全員が背を向け、手をLの字にして高々と掲げる光景を見てかっこいいと自賛する一幕も。さらに久保田さんからは、この新衣装を着たメンバーたちのイラストも見たいと提案すると、キャスト陣が同調してアピール。会場からも同意を示すような大きな拍手が巻き起こっていた。

　ここからはトロッコに乗り込んで、場内をめぐりながら「Sweet Eyes」と「全速ドリーマー」で歌声を届けていく。こと「全速ドリーマー」では、1月に開催されたR3BIRTHのユニットライブ＆ファンミーティングで披露しインパクトも大きかった、振り付けのスクワットをしているふりのメンバーや客席の姿も。メインステージに戻ってからは、ニジガク始まりの曲である「TOKIMEKI Runners」。内田さんと法元さんが加わったことでより楽曲の世界観がより豊かなものとなって、場内を包み込んでいた。

　ライブ本編が一旦終了となり、アンコールを臨む拍手に加え、“帰ってきた”ニジガクアンコールメーターと幕間映像を経て、再登場したキャストによる「Love U my friends」に。2ndアルバムの表題曲で、ジャケットで描かれているおそろいの衣装を、内田さんと法元さんが初めて着用してのパフォーマンスとなった。

　ここからはユニット曲を披露する流れとなり、A・ZU・NAの「Happy Nyan! Days」では、キャストもステージに残り、猫耳風の髪飾りをつけて、猫になりきってサポート。2021年4月1日に公開した「にゃんがさき」をほうふつとさせるようなサプライズとなっていた。さらにQU4RTZは、赤いケープを羽織ってのクリスマスソング「Twinkle Town」、DiverDivaは、花火が打ちあがる映像とともに夏祭りのあとをイメージさせる「祭花 -saika-」を披露。そしてラジオをテーマにした「ミラクル STAY TUNE！」では、間奏にある雑談風な寸劇も大阪や関西弁にちなんだ話題で展開され、いつも以上に賑やかなものとなっていた。

　トーク中に行われた各種告知では、5thライブの開催決定やTVアニメ2期の映像公開や4月2日からの放送開始など新情報が発表され、大いに盛り上がっていた。終わりの挨拶では、それぞれがライブの感想を語るなか、京セラドーム大阪のステージに立てたことの喜びや、応援をいただけることへの感謝、ニジガクの一員になれたことの幸せ、一緒にライブができて楽しいといったことが、時には笑顔で、時には思いがあふれて目が潤ませながら語られていった。

　楠木さんが「『どんな形であれ、楠木さんがせつ菜を表現することが大切』。この言葉をいただいて、私はこのステージに立ちました」と切り出し、スカーレットのブレード（せつ菜のイメージカラーで光ったコンサートライト）を見て安心したことなど、抱えていた気持ちや想いを話すところでは、キャストも客席も静かに聞き入り涙ぐむ一幕も。また大西さんからは、応援に対するお礼をしつつ「これからも私たち12人はスクールアイドルとして、もっともっとあなたに愛を、パフォーマンスを伝えていきます」とメッセージを送っていた。そしてラストナンバーとなったのは「Just Believe!!!」。12人で前に踏み出していくことを示すような楽曲を高らかに歌い、ライブを締めくくった。

「Just Believe!!!」（※写真はDay.1のもの）

　スクスタでは、校内フィルムフェスティバルの前夜祭でこれらの歌を披露するという流れがあり、それを実感できるようなステージとなっていた。また、イメージを一新するような楽曲が多くあるような、コンセプト色が強いライブは、以前開催した校内シャッフルフェスティバルをほうふつとさせるもの。こういったライブができるのもニジガクらしいところ。

　ライブの経験を重ねることに加えて、メンバーとキャストが増えることでも成長や進化していく様子が楽しめるのもニジガクならではと思えるところ。特に、個別衣装でさまざまな“色”のある姿で歌う「TOKIMEKI Runners」を見てて、初期は9人で歌っていたことを思い返して感じた部分でもある。そういったことをふまえて、今回のライブは12人12色で彩ったステージと思えた次第だ。

　また余談であるが、筆者お気に入りのメンバーがエマ・ヴェルデということを踏まえて印象に残ったところがある。「Happy Nyan! Days」で猫耳風の耳飾りを付けた指出さんが、「にゃんがさき」における“えみゃ”の雰囲気を漂わせているように見えたところとか、合間には鬼頭さんとお互いにじゃれあうようなねこパンチを繰り出していた光景も微笑ましかったこととか、「ミラクル STAY TUNE！」において関西弁で喋るエマもどこか癒されると感じた……などもあるのだが、やはり一番印象に残ったのは「いつだってfor you!」のステージだ。

「いつだってfor you!」

　前述のように、この曲は“メイド”をイメージした楽曲。赤と白のストライプが入ったメイド風衣装に、緑のリボンが多数付けられているほか花もあしらわれており、さらにヘッドドレスもあってエマらしいメイド衣装に。楽曲も王道アイドルソングと感じさせるなかでも、“かわいい”に全振りしたうえでエマらしさを盛り込んだものと思えるもの。その衣装と楽曲で指出さんがパフォーマンスを行った。

　エマとしての癒しの歌声と、可愛らしさを感じさせる振り付けも随所に盛り込まれ、癒しの形はさまざまあるなかで、“かわいい”で癒しを感じるステージに。さらにスクリーンには、スクスタのなかで、エマがメイドとして特製サンドイッチを作って、あなたに“あーん”して食べさせようとしたときの光景が映し出される一幕も。次第に、手を握って両手を寄せてあごに付けるところがかわいい、手でハートを作るところも多くてかわいい、サビであなたに向かって両腕を伸ばして指をさすところがかわいい、頭の横で指をくるくるするところがかわいい……と思い始めると、体をポンポンとする振り付けがかわいい、頭を少しかしげるところがかわいい……と、魅了されるようにいたるところで“〇〇するところがかわいい”という感覚になってくると思えるもの。特に、背を向けてから握った手をあごに付けて振り返る振り付けが曲中に3度あるのだが、終盤の3回目では目をつぶって頭を振るものとなっており、そこは俗に“語彙力をなくす”を呼ばれるぐらいの、“かわいい”方面でのインパクトが特大なものとなっていた。

　スクスタでのあなたはエマのステージを見て、会場にいた人たちはエマみたいなメイドにお世話されたいと思ったよねと感想を語っているのだが、この会場でも見ていた人たちはそう思ったであろうというエマのステージを、指出さんが体現していたと感じられた次第だ。

　今後の展開についても発表された。かねてから4月放送開始を告知していたTVアニメ2期について、TOKYO MX、BS11ほかにて4月2日から放送することを発表。あわせて番宣PVを公開。2期から新たに登場する栞子、ミア、ランジュもPVで姿を見せている。

　また放送に先立ち、3月27日にはTVアニメ2期放送直前特番を放送予定。20時からTOKYO MX、BS11にて放送するほか、バンダイチャンネル、LINE LIVE、YouTube Live、TwitterLIVE、bilibili動画にてライブ配信も予定している。