LIFULLは、不動産、住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」に掲載された物件のうち、2021年1年間における実際の問合せ数から算出した「首都圏版 2022年 LIFULL HOME'S 住みたい街ランキング」の結果を発表した。賃貸ユーザーは郊外志向が進み、購入ユーザーは都心と郊外エリアのベッドタウンといった二極化が進んだとしている。
LIFULL HOME'S 住みたい街ランキングは、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)、近畿圏(大阪府、兵庫県、京都府)、中部圏(愛知県、三重県、岐阜県)、九州圏(福岡県)の4種類が発表されている。ウェブサイト掲載物件のうち、問い合わせが発生した数をカウントしており、本気で住みたい街、ユーザーに探されている街のランキングがわかる。
LIFULL HOME'S総研副所長チーフアナリストの中山登志朗氏は「『借りて住みたい』『買って住みたい』の2種類を調査しているが、エリア選択の考え方がコロナの影響で鮮明になった。賃貸は住み替えのハードルが低く、現状では家賃が低く、かつ都心へのアクセスが良い場所を求める傾向にあり、購入ではコロナ後まで見据えた資産価値を考え都心を選ぶ人がいる一方、郊外に出るのも悪くないと、利便性が確保されているベッドタウンに関心を持っている人が増えた」とニーズを分析する。
借りて住みたい街ランキングでは、1位本厚木(小田急小田原線)、2位大宮(R京浜東北・根岸線ほか)、3位柏(JR常磐線ほか)となり、上位には郊外の駅がランクイン。本厚木と大宮は、ともに2年連続の1、2位となった。
このほか、ベスト5を都心以外の駅が並び、2020年まで1位だった池袋が12位へとランクを落とした。中山氏は「脱都心の傾向はこのランキングの動きからも如実にわかる。郊外化している理由の1つとして23区内の移動人口があり、転出超過が1万2828人で現行調査を開始して以来、初めて出ていく人が多い結果となった」とした。転出先としては、神奈川県、埼玉県、千葉県と東京の周辺が多く、「まさしく郊外化してきていることが人口のデータからも明らかになった」(中山氏)と裏付ける。
要因については「テレワークが普及する中、オフィスと住む場所の往復を生活の中心と考えずにすむのなら、家賃がやすかったり、広い場所だったりと選択肢が広がったため。将来への不安もあり、家賃を抑えたいという考え方はあると思う。ただし、定期的に出社する可能性も考え、都心への通勤に不便ではないところ、ダイレクトアクセスで1時間程度までを目安にしてエリアや街を選んでいるようだ」(中山氏)とコメントした。
買って住みたい街ランキングでは、1位勝どき(都営大江戸線)、2位白金高輪(東京メトロ南北線ほか)、3位横浜(JR東海道本線ほか)という結果になった。「都心エリアに位置する勝どき、白金高輪はともに大規模マンションが多く、注目度が高い。物件人気が高いため関心が高まっている」と中山氏は分析する。
「2022年の特徴は、3位に2021年は23位だった横浜が上がってきている点。4位には浅草、5位は本厚木となり、都心と郊外の二極化の動きが現れている。さらに7位には八街(JR総武本線)、8位には千葉(JR総武本線ほか)などがランクをあげてきている」(中山氏)と郊外化が進んでいることを強調した。
コロナ下におけるテレワークの促進も、郊外人気を後押ししているとのこと。「テレワークが定着している人は、都心暮らしの必要性を感じなくなってきた。家族の健康も考え、安心して暮らせる街のエリアを探す傾向にある。一方、都心に家を求める人は資産価値と物件の周辺環境を含めたスペックに注目している。この2つのポイントが、都心から動かない理由の圧倒的多数を占める。コロナだからこそ職住近接であったほうがいいという考え方もあり、徒歩や自転車で勤務先に通えるような都心を求めることもある」とコメント。
中山氏は「2021年は購入ユーザーに対し二極化し始めたようだという印象だったが、2022年は完全に二極化してきた。郊外でも上位にランキングしている駅は多く、郊外人気が高まっている。この傾向は継続するだろう」とした。
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