——それぞれの方向性、ありがとうございました。進めていく中での目標、課題と感じていることなどがあれば、お聞かせいただけますか。
この2年間で私たちが日本で注力してきたことは、(1)社会経済への貢献、(2)安心、安全に使えるというところ、そして(3)イノベーションの3つです。
直近でこの大きな柱への変更はありませんが、メタバースに向かっていく中で、イノベーションにおけるメタバースの比重は高くなっていくと思います。
社会経済への貢献という観点では、この2年は特に、コロナ禍へ対応すべく正しい情報を出す、間違った情報を落とすというところから始めています。平行して新たな社会習慣の中での経済、社会の復活に合わせてビジネスを支援していく。そういった目標を持ってやっていきたいです。
安心や安全という部分の重要性は、さらに大きくなるでしょう。特に大きな比率を占めるのが、ヘイト、誹謗中傷への対応です。人の雇用やAI、マシンラーニングの活用などで大きく投資をしている分野で、数字を改善しています。プラットフォームという立場上、四半期に1回ごとにどれだけ改善したかのレポートを作成するという取り組みも、約1年半ほど継続しています。
——安心や全然への取り組みは、米国でさまざまな批判を受けている分野でもあります。
社内で一番ショックを受けた部分が、ヘイトを容認してビジネスを優先している、という批判でした。こういったプラットフォームのビジネスをする中で、あり得ないことです。そのように見られていることに対して、改めて否定をさせてください。ヘイトを100%なくすことはなかなか難しいですが、100%になるべく近づくよう注力していますし、これからも注力するという気持ちを新たにさせられました。
また、Instagramが非常に伸びている中で、若年層へ与える影響についても、安心や安全に使えるという部分に注力しています。
例えば、16歳未満の方がアカウントを作った時は、デフォルトで非公開になっていたり、悪意がありそうな大人とのDMのやりとりができなかったりといった機能を実装しています。
私たちが主体性を持って若年層の利用者を啓蒙する活動も実施しています。直近では2021年12月、自分の“LOVE(好き)”を楽しむために、安心安全にInstagramを利用するための機能を周知するブランドキャンペーン「SAVE YOUR LOVE 好きっていいね。」を展開しました。10代に人気がある藤田ニコルさん、EXITりんたろー。さん、青山テルマさんの3人を起用し、渋谷駅構内に設置した特設ブースで限定ステッカーを配布しました。また、キャンペーン初日には、Instagramライブ「テルマ&りんたろーの#SNS相談室」を実施し、利用者のSNSの悩みを一緒に考える機会を作りました。
さまざまな自治体と連携協定を結びながら、親御さんや先生の理解を深める活動も実施しています。私たちの各プラットフォームは日々多くの機能改善をしていますが、6つの国内NPOと協力した「保護者のためのInstagramガイド」といった冊子や、Facebookのコンテンツ「保護者向けポータル」を用意し、機能改善に合わせたアップデートをしています。そのほか、学校への出張授業やオンライン授業など、学校や生徒のニーズに合わせたプログラムなどを実装しています。
こういった取り組みはクリエイタ-向けにも実施しており、コメントやDMを一時的に非表示にする、望まないやりとりをするアカウントを制限するといった機能を実装しています。また、そういった安心、安全に使ってもらえる機能をクリエイター自身が横でお互いに学び合えるコミュニティーの機会をつくったり、私たちの方から積極的に発信したりしています。
双方へのさまざまな取り組みは、(プラットフォーマーとしては)当たり前ともいえますが、伝え切れていない部分があれば、それは課題かもしれません。
一方、もちろん企業としてやっていく部分はありますが、一企業に留まらずに業界全体で取り組んでいくことが必要と感じています。私企業が1社で何かを実施しようとすると、ある種危うさのようなものが出かねません。ヤフーやLINEなども参加しているセーファーインターネット協会などの横の活動、政府の関係省庁とも連携しながら、今まで以上に業界全体で取り組んでいきます。
——その他に注視している部分があれば教えてください。
注力しているクリエイターコマースという観点では、さまざまなサービスからの学びの必要性を感じています。ただし、この“好きなものを直接発信してそれがビジネスになる”という分野は、まだ始まったばかりとも言えます。色々なサービスがありますが、お互いに強みを生かせる部分でマーケットを整備、支援しつつ、クリエイターの選択肢を広げていければと感じています。その中で自分たちの強み、例えばコミュニティやプラットフォームなどの特徴を生かせるところを構築していきたいですね。
また、長期的な視点では、メタバースはさまざまなところとご一緒する可能性がある、一緒に作っていくものです。今までは接点がなかった競合企業でさえも、何か一緒に作っていける可能性があります。
これからの部分ですが、メタバースでのアバターやデジタルグッズの構築が進むと、crypto(暗号通貨)やNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)といったインターオペラビリティ(相互運用性)が重要になります。特定のアプリやプラットフォームだけでなく、共通して使えるというものです。プライバシー、セーフティーを重要視するという基本原則のもと、さまざまな方々と一緒に構築していく。まさにメタバースでは、日本を重要なマーケットと捉えています。Questの販売に留まらず、さまざまな企業と構築していきたいと感じています。
もちろん、引き続き現在のプラットフォームには注力します。メタバースの構築と平行しながら、最終的に統合した世界を目指します。
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