リアルな表情で話題のロボット「Ameca」--付き合うコツは感情移入しないこと

Claire Reilly (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年01月12日 07時30分

 ロボットと初めて会うときは、落ち着かない気分になるものだ。

 世界最大規模のテクノロジー見本市「CES 2022」で、話題の人型ロボット「Ameca」を取材する機会を得た。開発チームがデモをしてくれるという。私はこの人型ロボットが本当に人間そっくりなのか、自分の目で確かめたかった。その表情は、インターネットで見たあの動画と同じように、(トラウマになりかねないほど)人間的なのだろうか。しかし何よりも知りたかったのは、このロボットが私の質問にどう答えるかだ。フォークト=カンプフ検査(映画「ブレードランナー」に登場する人間とレプリカントを見分ける検査)を用意しておくべきだろうか。

Ameca
提供:Engineered Arts/Justin Reynoso/CNET

 結論から言うと、私の心配は杞憂だった。Amecaから返ってくる答えは、Alexaが見せる、あの微妙な反応とあまり変わらない。しかし生みの親に頬をつつかれそうになったときにAmecaが見せた表情を、私は当分忘れられないだろう。

 インターネットを利用している人なら、どこかでAmecaを見たことがあるはずだ。2021年末、この灰色の顔をした人型ロボットを映した1本の動画がSNSに投稿され、世界中に拡散された。実業家のElon Musk氏は一言、「ゲッ」とコメントし、モデルでテレビパーソナリティのChrissy Teigen氏は、「最悪。無理」とつぶやいて1300万人のフォロワーにリツイートした。

 Amecaの動画は確かに一部の人々を震撼させたが、開発元の英国企業Engineered Artsは今回の反響を喜んでいるようだ。

 「心底、驚いた」と同社のオペレーションディレクター、Morgan Roe氏は言う。「Twitterに投稿した1本の動画で、Amecaは一夜にして有名人になった。あの投稿は2400万回も閲覧された」

 Roe氏は、Amecaがこれほどの反響を巻き起こした理由を、ロボットとも人間ともつかない外見のせいだと考えている。金属とプラスチックでできた身体、あえて中性的に作られた顔、人間とはかけ離れた灰色の肌。頭部には個別に動作する17個のモーターが内蔵され、動きや表情を制御する。Amecaの表情は生き生きとして、驚くほど豊かだ。人工的な要素と人間的な要素の絶妙な組み合わせが、人々の抱く未来の人型ロボットのイメージと重なった。

 「私たちは多くの映画で人型ロボットを見てきた。例えば『アイ,ロボット』、そして『A.I.』」とRoe氏は言う。「それが突然、現実の世界に現れた」

 今回のインタビューは、CESの会場にいるRoe氏と「Zoom」を介して行われた。CES 2022では、ラテックスで肉付けされたAmecaが初めて一般公開されている。私はRoe氏とAmecaをZoom越しに見ているにすぎないが、それでもAmecaのリアルさは疑いようもない。自分でも、心がざわつくのを感じる。Amecaの隣に立っている、この気さくな英国紳士にインタビューをしながら、目はAmecaを追ってしまう。私たちの会話にAmecaがどう反応しているか、気になって仕方がないのだ。眉のあたりの隆起、ひきつったような笑顔。Amecaは人間ではない。しかし――。

 Engineered Artsが、トラウマになりそうなほどリアルな人型ロボットを発表するのは、これが初めてではない。この4年間、同社は「Mesmer」と名付けられた人間そっくりのロボットをいくつも製作し、各地の展示会で披露してきた。

Engineered Artsの人型ロボット「Mesmer」(写真左)
Engineered Artsによる以前の人型ロボット「Mesmer」(写真左)
提供:Engineered Arts

 同社のウェブサイトによれば、「すべてのMesmerロボットは実在の人物の3Dスキャン画像をもとに設計・製造されているため、人間の骨格、肌の質感、表情を違和感なく再現できる」という。「Mesmerはモジュール構造を採用しているため、工具を使わずにワンクリックで頭部を取り外し、別の頭部と交換できる」

 映画「オズ」に出てくる生首コレクター、モンビ王女も真っ青だ。

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