ウォンテッドリー流チームのモチベーションを生み出す実践手法

川口かおり (ウォンテッドリー 執行役員)2021年11月30日 15時00分
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 前回、チームビルディング、組織作りの普遍的な要素としてモチベーションへ目を向けた。モチベーションにはアメとムチのような外発的動機づけ、内からふつふつと湧き出てくるような内発的動機づけの二種類があり、課題解決能力が求められる仕事であふれた現代においては後者が重要だと語った。では内発的動機づけを生みだすために必要な「自律・共感・挑戦」の3要素をどのように組織に実装するか。ウォンテッドリーが組織のモチベーションを高めるために実践してきた取り組みについて話を進めたい。

自律・共感・挑戦
自律・共感・挑戦

チームの自律・共感・挑戦を高めよう

 少し昔の話を。ウォンテッドリーは「仕事=つまらない、辛いもの」という固定観念を覆そうと考え、ビジネスSNS「Wantedly」を産み出した。モチベーションが上がる、夢中になれる仕事と出会える場所を作ろうと考えた。このとき、3要素のうち、特に“共感”に着目した。

 共感の敵はなにだろうか?ここで一つの質問をしたい。「共感した会社に入りたい?面白いと思える仕事をしたい?」。そう聞かれたら、みんなYESと答えるだろう。しかし、「今の会社に共感してる?面白いと思える仕事をしてる?」。そう聞くと、一気に雲行きが怪しくなる。

 このギャップは何なのか?それは、仕事選びにおける強力な「ノイズ」だと我々は考えた。「A社おもしろそう!働く人の考えにも共感できる。『でも』知名度が無いから親が心配しそう、友達に自慢しづらい、平均年収がB社の方が少し上だ…」

 この“でも”の後が問題だ。非常に強いフィルターで、このフィルターを取り払うことは不可能に近い。もちろん、このフィルターは生きる上で重要なものもある。

 問題はどこにあるか?Wantedlyが生まれる前、仕事選びは給与とセットだった。「面白そうか?」というデリケートな情報と、「給与」という強力なノイズがセットで羅列される状況、この状況では面白い仕事を選ぶのは非常に難しくなってしまう。

 もちろん給与は生きる上で非常に重要だが、面白いと思え、共感出来る仕事とどうにか出会うことはできないかと、考えた。

 我々は仕事選びのファーストフィルターに着目した。まずはじめ、面白いと思える仕事でフィルターをかける。そしてそのあと給与で絞り込む。たったそれだけの考え方で人の仕事に対する人生をより良い方向に変えようと考えた。

仕事選びのファーストフィルター
仕事選びのファーストフィルター

 シンプルで強力な考え方だ。リリースした2012年当時の常識から考えると、クレイジーな考え方とされ、批判もあった。しかし何を言われようともこの思想は変えなかった。そして今やWantedlyは310万人以上が使い、4万1000社以上が登録する国内で大規模と言えるビジネスSNSになった。

 人がモチベーションが上がる仕事、夢中になれる仕事と出会えることに対して情熱を燃やし続けたウォンテッドリーは、自社の組織作りおいてもそのモチベーションに関する考えを反映させている。それをあますことなく紹介しよう。

自律

 自律とは、自分で意思決定できること。これは一見簡単だが、完全に好きにやっていいわけではないのが実情だ。ここでミッション・ビジョン・バリューと言われるなかの「バリュー=行動指針」が大事になってくる。ミッションがどの山を登るのか?という話ならバリューはどう登るのか?だ。これは事業内容によって大きく異なるだろう。多少のバグが有っても良いから改善のサイクルを高速で回せたほうがよいのか、それとも少しのミスが人命に関わるのか。会社によって大切にしたい行動指針は異なる。

 これを浸透させるためにWantedlyではポスターを作っている。

The Wantedly Values
The Wantedly Values

 視覚的にもバリューの内容が伝わるようにし、自然と目に入ってくるようになっている。

ちなみにその内容は

  • Code wins argument
  • Move fast
  • Get things done
  • Team first
  • Focus on users
  • Do more with less

というものだ。

 社内イベントでいくつかのカルチャーを取り上げ、自分以外の職種だったらどのような行動がバリューを体現することになるのかをディスカッションしたりと、浸透施策も行っている。

共感

 会社のミッションへの共感は、採用時点で8割型決まってしまう。ウォンテッドリー自身、「ミッション共感」という点で一切の妥協無く採用活動を行っている。それがお互いにとっての幸せを作るだけでなく、組織としてのパフォーマンスを担保する上でも重要だと実感している。

Mission
Mission

 ただ難しいのは「弊社のミッションに共感していますか?」とそのまま聞くだけでは、効果が薄いということ。面談、面接という場において聞かれたら大体の人がYESと答えてしまうだろう。

 そこで大事なのは“共感の深さ”。候補者の人生と、自社のミッションにどのような関連があるのか?根強い原体験があるのか?そこまでではないのか?一緒に考えることから逃げないようにしている。たとえ相手が喉から手が出るほど欲しいスキル・経験を持っている人であっても。

 入社時にミッション共感を担保できたらゴールというわけではない。入社後日々の業務におわれ、「何の為に働いているのか」、状況が変化するなかで「今、何を目指しているのか」がわからなくなってしまったりするもの。そういった問題を解決する仕組みづくりも重要だ。

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