今回も、グロービス経営大学院とフライヤー主催による「読者が選ぶビジネス書グランプリ」の中から、マネジメント部門賞を獲得した「心理的安全性のつくりかた」を紹介する。
「心理的安全性」とは、組織やチーム全体の成果に向けて、率直な意見や素朴な疑問、そして違和感の指摘がいつでも、誰でも気兼ねなく言えることだ。
この考え方の重要性を見出したのは、グーグルである。同社が4年の歳月をかけて「効果的なチームはどのようなチームか」を調査・分析した結果、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」のほうが真に重要だということがわかった。さらに圧倒的に重要なのが心理的安全性であり、心理的安全なチームは離職率が低く、収益性が高いとも結論づけられている。
もちろん心理的安全性の重要さは、グーグルだけが発見したわけではない。組織行動を研究する研究者たちも、さまざまな成果を学会に発表しており「業績向上に寄与する」「イノベーションのプロセスや改善が起きやすくなる」「意思決定の質が上がる」といったビジネスの現場における有用性が次々と報告されている。
いま、新型コロナウイルスの感染拡大によって生活や仕事で大きな変化を余儀なくされている方も多いだろう。このように先が見えず、変化の激しい時代には「確固とした正解がある」時代のチームマネジメントは役に立たなくなっている。だからこそチームの心理的安全性を高め、「挑戦・模索」からチームの学習を促進することの重要性が増しているのだろう。
本書は単なるノウハウ集ではなく、理論と体系に基づいて実践に向けた指針が示されており、多くのビジネスパーソンにとって、これからの働きかたの実現に向けた必携の書となるだろう。
読者が選ぶビジネス書グランプリは、「読者こそがビジネス書を評価する人であるべきだ」という信念のもと、フライヤーとグロービス経営大学院が毎年開催しているイベント。2021年は全国950店舗の書店にて、受賞作品のフェアが順次開催中だ。
今回ご紹介した「心理的安全性のつくりかた」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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