塩竈市の「副業型ワーケーション」仕掛け人に聞く--地元企業と副業人材をつなぐ想い

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 宮城県仙台駅から電車で30分ほどで行くことができる、日本有数の港町のある塩竈市。この塩竈で実施されたユニークな取り組みが「副業型ワーケーション」のテストマーケティングだ。副業型ワーケーションとは、ワークとバケーションの合間に副業をする新しい働き方のこと。自分が持っているスキルで地域に貢献することで、地域の人と関係性ができ、お金も稼いで帰れる新しいワーケーションの形だ。

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塩竈市内からフェリーで行ける浦戸諸島

 今回のテストマーケティングは、宮城県のワーケーション推進プログラム「宮城県ワーケーションプログラム造成推進補助金」を活用したもの。塩竈市内の企業と、副業人材をマッチングすることで関係人口を創出する狙いや、ワーケーションの課題の1つである「コストの捻出」を検証する目的があるという。

 このプログラムを企画したのは、塩竈市議会議員の阿部眞喜氏と、有限会社宮本商店の宮本龍次氏。この2人を中心に、塩竈市の観光交流課や、塩釜商工会議所、ワーケーション先を紹介するサイト「Workations」、副業人材を紹介する「シャルソンコンサルティング」などの協力を得て、10月21〜24日の4日間にわたり副業型ワーケーションが実施された。

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有限会社宮本商店の宮本龍次氏(左)と、塩竈市議会議員の阿部眞喜氏(右)

 そこへ集まったのは、大手コンサルティングファーム、大手広告代理店、ベンチャーキャピタルで働く3名。塩竈市内からフェリーで行ける浦戸諸島でバケーション体験をしながら、地元事業者とディスカッションを重ね、それぞれ視点でアドバイスをした。

 なぜ、このようなプログラムを実施するにいたったのか。仕掛け人である阿部氏と宮本氏に、企画意図や実施背景について話を聞いた。

副業型で「何度も来てもらえる」ワーケーションに

——ワーケーションの取り組みはいつ頃から考えられていたのでしょうか。

阿部氏 : 2020年4月の内閣府の議事録を読んだ時に「ワーケーション」という単語が1カ所だけ載っているのを見つけました。調べてみると、米国では2000年代から取り組まれている働き方で、旅行の新しい形でもあると。

 ちょうど新型コロナウイルス感染症が蔓延しはじめた時期で「コロナ禍が落ち着いても団体旅行はなくなるな」と思っていたこともあり、2020年4月からワーケーションへの仕込みをはじめました。

塩竈市議会議員の阿部眞喜さん
塩竈市議会議員の阿部眞喜氏

——どうして「副業型」にしたのでしょうか。

阿部氏 : ワーケーションの形として多いのは、都会の人が地方に行って、のんびりリラックスしながら仕事をして観光も楽しむというもの。リモートワークで遠隔でも仕事ができるようになったからこその形ですが、観光がてらだと次のワーケーション先は違う場所を選びたくなるでしょうし、地方からしてみると2回、3回と続けて来てもらうのは難しいといった課題があります。

 そこで塩竈では、ワーケーションに来た人と地元の企業を仕事でマッチングして、出張をするような形で何度も来てもらえるワーケーションにしました。地方のいい部分と東京のいい部分がマッチングして新しいビジネスが生まれることを期待しています。

——例えばどのようなビジネスが生まれて欲しいですか。

阿部氏 : 水産を例に挙げると、水産とDXを掛け合わせることで新しい養殖の形が生まれたり、SDGsへの取組みが進んだりといった、今の時代にあったビジネスでしょうか。ほかにも、小売店のECサイト活用など、東京の人たちが日頃当たり前に行なっているビジネスを地方に落とし込むことも地方活性化につながるので、そういったビジネスも生まれて欲しいですね。

ワーケーション内では、参加者とのディスカッションも行なった株式会社 シーフーズあかまさんに船に乗せてもらい、わかめ養殖の現場を体験させてもらった
ワーケーション内では、参加者とのディスカッションも行なった「シーフーズあかま」さんに船に乗せてもらい、わかめ養殖の現場を体験させてもらった

——今回、大手コンサルティングファーム、大手広告代理店、ベンチャーキャピタルで働く3名が数日間のワーケーションを体験しています。東京でも揃うのが珍しい3社が集まっていますね。

阿部氏 : 今回はテストマーケティングという側面もあるので、ハイスペック人材を輩出する「シャルソンコンサルティング」さんと組んで募集をかけました。その中で塩竈でのワーケーションに興味を持ってくれたのが今回来てくれた皆さんです。

 参加してくれる方々が決まってから、副業につながるマッチングになるように事業者さんを選んで事前準備を行ないました。事前準備は、塩釜商工会議所をはじめ、塩竈市の観光交流課にも協力してもらっています。民間同士だけではなく、民も公も一緒になってマッチングしていくことが大切ですし、観光交流課の人たちにとっても勉強になりますからね。

副業型ワーケーションで「関係人口」を増やす

——今回の副業型ワーケーションに携わることは、市議会議員の仕事の一環なのでしょうか。

阿部氏 : もちろんです。私は自治体として稼ぎながら、企業や地域も稼げるまちづくりを行なう「稼ぐ自治体」をスローガンにしています。ふるさと納税やネーミングライツなどで財政をつくることも仕事ですが、塩竈に人が来てくれないことにはお金は落ちません。

 副業型ワーケーションが塩竈に根付けば、地域の発展にもつながりますし、地元のお店などとの関係もできます。そうやって関係人口が増えていくと地域にお金が落ちていきますし、来た人もお金を落とすだけでなく、稼げると。

 
 

  新しい観光の形のひとつにもなりますし、仕事の一環になりますね。私は普段から、地方と東京のスタートアップやベンチャー企業をつないだり、東京の国会議員さんを紹介したりしています。そういう意味では今回のワーケーションでのマッチングも、常日頃やっていることの延長でもあるので、積極的に関わっています。

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