日本電信電話(NTT)は11月10日、2021年度第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比3.1%増の5兆8876億円、営業利益は前年同期比0.1%増の1兆93億円と、増収増益の決算となった。
同日に実施された決算説明会に登壇した、NTT代表取締役社長の澤田純氏によると、NTTドコモ(以下ドコモ)が減益となったものの、NTTデータが旺盛な法人のデジタル化需要を取り込んだことなどで、わずかながらも増益を達成できたとのこと。通期目標に対しては上振れで推移しているという。
ドコモの減益は、前年同期に会計制度変更の影響を受けたことや、5Gの整備や6Gに向けた研究開発などに向けた費用の増加が主な要因で、「計画に織り込み済み」と澤田氏は説明する。ただ、足元の半導体不足などの影響が「(グローバル事業を担う)NTT Limitedで大きく出ている」とのことで、今後エネルギー価格の高騰などの影響も出てくると考えられることから「経営環境は厳しいと認識している」と澤田氏は回答。上期の好業績を維持できるよう、環境変化に対応していきたいとしている。
また今回の決算説明会では、ドコモの代表取締役社長である井伊基之氏も登壇、ドコモ単独での決算についても説明した。同社の売上高は前年同期比337億円増の2兆3162億円、営業利益は前年同期比673億円減の4963億円と、増収減益の決算となっている。
セグメント別では通信事業の売上高が前年同期比335億円増の1兆7980億円、営業利益が607億円減の3729億円となる。先に澤田氏が触れた通り、減益は前年度の第2四半期に会計制度変更があったという特殊要因や、5Gや6Gに向けた投資の拡大など戦略的な要素が大きく影響しているというが、井伊氏はもう1つ、前年度にコロナ禍で大きく落ち込んだ端末販売が回復して大幅に増え、それにともない販売奨励金などが増えたことの影響も大きいとしている。
ただ、モバイル通信サービス収入は前年同期比で243億円の減となっているが、その影響は「どちらかというとMVNOの音声卸料金値下げが支配的」と井伊氏は説明。オンライン専用プラン「ahamo」の影響は限定的としている。澤田氏も670億円の減益のうち会計制度変更の影響が270億円で、今年度の第1四半期に350億円の減益となっていることから、第2四半期単体での減益幅は50億と幅が小さくなっていると答えている。
そのahamoの契約数は「すでに200万を超えている」と井伊氏は話し、順調に契約を伸ばしている様子を示す。一方で10月に開始した、MVNOとの連携で小容量・低価格の領域をカバーする「エコノミーMVNO」については、NTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」をドコモショップにおいて取り扱い始めたことにより、60歳以上の契約者のうち7割以上がドコモショップで購入するなど、足元は好調だと井伊氏は話す。
ただ、そのエコノミーMVNOに関しては、参入を表明した事業者が2社とかなり少なく、MVNOの側からは当初の参入を見送った、あるいはそもそも連携の声かけがなされていないといった声も出ている。この点について井伊氏は「われわれが回線を提供しているMVNOはほぼ声かけをしている」と話し、連携を表明した2社の販売効果を出していくことで他のMVNOが参入する呼び水にしたいとしている。
低価格領域を巡っては、ここ最近、楽天モバイルやKDDIの「povo 2.0」など、月額0円から利用できるプランが増えており、その影響が注目されている。井伊氏はこうしたプランについて「あまり通話やデータ通信をしない人には魅力的だと思うし、そうした顧客が(NTTドコモから)転出している事例があると認識している」とする一方、「当社としては0円プランをやるつもりはない」とし、低価格の領域はあくまでエコノミーMVNOを活用してカバーしていくとしている。
ただ、一連の値下げ施策によって「競争が激化している」(井伊氏)とのこと。それにともなって各社の解約率も高まっており、ドコモも前年同期比で解約率が0.1%、ハンドセット解約率も0.9%上昇している。
さらに低価格プランの利用が広がることで、今後のネットワーク設備投資に影響が出ることを懸念する声も出ているが、井伊氏は短期的には影響が出るとしながらも「長期的視点でいうと技術も進歩すると考えている」と話し、必ずしも料金の低廉化が設備投資に影響するとは限らないとの考えを示す。その上で大事なのは「顧客基盤を伸ばせているかどうか」だとし、通信で得た顧客に付加価値サービスを提供して利用料金を上げていくことが必要だとしている。
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