その付加価値領域となるスマートライフ領域については、売上高が前年同期比9億円減の5386億円、営業利益が66億円減の1234億円と、減収減益となっている。ただし、こちらも会計制度変更の影響によるものだそうで、実質的には増益に転換できているという。
特に好調なのが金融・決済関連の事業で、特に「dカード」の契約数は1500万を超えたほか、「d払い」の取扱高は前年同期比で65%伸びるなど順調とのこと。「やっと金融決済で利益が出せる体質になってきた」と井伊氏は話し、下期に向けての自信を示している。
また、今後のスマートライフ領域拡大に向け、現在の主力である金融・コンテンツに加え、新たにオンライン診療などのメディカル領域を成長の柱の1つとして強化する考えを示した。法人事業についても、5Gを活用したソリューションをすでに400件、今年度だけでも173件を受注していることを明らかにしており、今後は中小企業のデジタル化に向け、2021年12月にビジネス向けマーケットプレイスを開始するなどして強化を図っていくとしている。
さらに井伊氏は、10月25日に発表したNTTコミュニケーションズとNTTコムウェアの子会社化についても言及。子会社化は法人事業の強化と、ネットワークの統合によるコスト削減が主な目的であるとし、そのためには組織や社員、企業文化などを1つにまとめていくことが重要だと説明。2022年夏を目指す組織の本格再編に向けて準備を進めているとした。
そして記者からの質問が相次いだのは、ドコモが10月14日に起こした大規模な通信障害に関してだ。澤田氏、井伊氏ともに説明会の冒頭に一連の障害について改めて謝罪するとともに、説明会と同日、総務省に事故報告書を提出したとしている。
今回の障害は、IoTサービスの位置情報登録用サーバーを新しい設備に移行しようとしたところ、問題が発生し古い設備に切り戻す際にトラブルが起きたことに起因する。それだけに井伊氏は「切り戻せなかったのが痛恨の極み。切り戻して元に戻らないことを想定できていなかった」とし、一連の事態を重く受け止めている様子を示す。
ドコモが同日に実施した、一連の障害の対応状況に関する説明会によると、切り戻しの際に発生した障害で2時間20分、およそ100万人が通信を利用できなくなったほか、音声通話で約460万人、データ通信で約830万人以上が、約29時間と長期にわたって通信しづらい状況に至ったとされている。その間スマートフォンだけでなく、法人向けのIoT機器の通信にも影響が出て決済ができなくなるなどの問題が発生している。
こうした点について井伊氏は「(影響を受けた人数が)決して少なくないという認識で、不自由をかけた責任を重く受け止める」と話し、コンシューマーだけでなく法人からも苦情が出ていることから真摯に対応を進めていくと説明。同社自身による工事で故障を引き起こしたことを重く受け止め、再発防止策の検討を進めていくとしている。
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