文科省に聞く「GIGAスクール構想」提唱から2年の手応え--4年計画をわずか1年に前倒し - (page 2)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2021年11月18日 09時00分
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900万台を一気に整備--「GIGA StuDX推進チーム」がサポート

——学力、学習状況ともにかなり厳しい状況にあったのですね。それを解決すべく始まったGIGAスクール構想から2年、振り返ってみていかがでしょうか。

 令和元年度、2019年12月の補正予算案で予算化されたGIGAスクール構想は、当初、令和5年度、2023年度までの計4年余りをかけて進めていく想定でした。一部の学年からスタートさせるなどすれば、端末の極端に大きな需要を抑えることができ、PDCAを緩やかに回していけると踏んでいたのです。

 ところが、ご存じの通り令和元年度の終わり頃にコロナ禍になり、前倒しして令和2年度、2020年度中に整備を終えるという話になりました。小中学校の1人1台の端末整備と、小中高等学校の通信ネットワーク整備の工事、そういった環境整備を頑張って令和2年度中に終わらせる。日本全国、1学年あたりはだいたい100万人いますから、計約900万台の端末を用意して、かつ同時に通信ネットワーク整備の工事を小中高全部一気にやらなければなりませんでした。

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 これを全国で一斉に行うわけですから、教育委員会や学校現場には大きな負担をおかけしたと思いますし、そういった関係者の皆様のおかげで整備が進みました。本当にありがたく思っております。

 一方で、令和2年、2020年9月時点で整備が終わっていた学校はわずか4%ほどです。そこから令和2年度終わりの2021年3月中に96%を超えるところまできました。最後の2021年3月は、その1カ月間だけで約48%、半数近くの学校を一気に終わらせています。ハードウェアが整備されたのがギリギリ年度終わりでしたから、いよいよ今年度から活用が本格化してきている、という状況です。

——それはすごいスピードですね。デジタル端末活用の本格化というところではどのような活動をされていますか。

 文房具のように日常的にデジタル端末を使う形での指導は、教師のみなさんには経験がない方も多いので、われわれが発信しているメッセージとしては、試行錯誤が大事だということ。現場の教師のみなさんをエンカレッジするようなことをしなければという考えがありました。

 そこで発足したのが「GIGA StuDX(ギガ スタディーエックス)推進チーム」で、私はそのチームリーダーとしての立場でもあります。このチームでは全国からお呼びした8名の小中学校教師出身のメンバーが所属していて、その方々を地域別、たとえば北海道・東北ブロックや関東ブロックなどに分けて、各地域を担当していただいています。その他、教科等別、OS別にも担当を分けています。

 メンバーそれぞれが日常的に教育委員会の方々と電話やオンラインなどで緊密なやりとりをしています。最近ではデジタル端末の活用に苦労されているような自治体にこちらから連絡するなど、プッシュ型で支援しているところです。

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 これまでは、全国各地の教育委員会に会社の営業のようにこちらからどんどん連絡をとるようなことはあまり行われていなかったので、取り組み方としては新しいですね。私のところにも、ICT化の遅れている地域がどういう状況にあるのか、情報が随時入ってきています。

——オンラインでの活動もされているのでしょうか。

 このチームは「StuDX Style(スタディーエックス スタイル)」というウェブサイトも作っています。これは主にデジタル端末にまだ慣れていない人向けに情報を提供するもので、たとえば「教師と子どもがつながる」「子ども同士がつながる」「学校と家庭がつながる」「職員同士でつながる」というところで、それぞれのシーンにおけるデジタル機器の活用アイデアを提案しているものです。他には小中高校の各教科等における活用方法も提示しています。

 これから始められる方にも、「まだ間に合う」と思っていただき、使っていただくように、特設ウェブサイトのStuDX Styleをより使いやすくしたり、すでに1万8000部以上の読者がいるメルマガにもこれから使い始める皆さんが関心を持ってくださるような記事を増やしたりさまざまな工夫していきたいと思っています。

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 StuDX Styleには、たとえば学校への欠席連絡、体温計測などは、これまでは紙に記入して提出し、先生がそれをチェックして戻ってくる、という形でしたが、デジタル端末を活用することで全てオンラインでできるようになるといった事例を載せています。授業以外でも隙間時間でタイピング練習ができますし、音声認識機能を使うことで英語や日本語のスピーチの練習にもなります。

——他にネットワークを活用したアイデアとしては何があるのでしょうか。

 GIGAスクール構想の端末はクラウド利用が前提になっています。ですので、高速ネットワークが肝ではありますが、たとえば以前はみんなが黒板やホワイトボードに手で書いて話し合っていたようなことも、オンライン上の付箋などでやり取りする形にすれば、他のクラスや他の学校の人たちと同時に共同作業できるわけですね。また、特に中山間地域や離島では学校のサイズが小さく、対面で話せる相手が少ないです。オンラインで繋がればその世界が一気に広がります。そういうのはオンラインの強みだと思います。

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 学校の通信ネットワークが整備されたことで、子どもたちだけでなく教師の業務にもいい影響があります。特に各地で開催している研修はオンライン化する効果が大きいと思います。これまでは都道府県ごとにある教育センターに教師のみなさんが車などで時間をかけて出向いて、講師の話を聞いて、フィードバックを紙で提出して、それで終わりみたいな研修が多いと思いますが、そういう一方通行の研修であれば、アンケートをオンラインで用意して、職員室で同時双方向で受けてもオンデマンドでも良いかもしれません。

 せっかく対面でやるのであればワークショップ型にするなど、より密度の高い研修した方が良い。あとは学級通信などをどんどんオンライン化していくとか、個人面談のスケジュール調整をオンライン化するとか。職員会議では紙を配らずペーパーレスにする、ということも考えられます。

 GIGAスクール構想はもちろん子どもたちの学習が中心ですが、学校全体の校務も含めて情報化し、効率化していくことも視野に入っています。そういうこともGIGA StuDX推進チームでどんどん発信していきたいですし、業務の効率化をデジタル化の力で促していけるよう検討していきます。

——デジタル端末でインターネットを利用しやすい環境にしたからこそ、今までにできなかったことも可能になると。

 都市部だけでなく中山間地域や離島も分け隔てなく情報収集できることもオンラインの強みですよね。昔は新聞や図書館、本屋などで収集していたので、明らかに都市部優位でした。しかし、今だとほとんどどこにいてもインターネットで情報を集められる。ですから、適切な検索キーワードを思いつき、収集した情報に信憑性があると判断できるような能力があれば、場所的なハンディキャップは全くないですよね。

 デジタルドリルのようなものについても、大事なことは、スムーズに解けた得意問題やつまずきのあった苦手問題を子ども自身が把握して、学習の改善につなげられること。これからの学習では、データで見える化することで自分が苦手な部分、改善すべき部分がわかるようになります。そういう部分で紙とデジタルをうまく使いこなすことができればいいですよね。

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