サッポロホールディングスのグループ企業であるサッポロビールと日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は11月4日、味覚コンセプトから味を創造する新たな商品開発スキームの実装を目指し、AI技術を活用したRTD(Ready to Drink:栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)における商品開発システムのテスト運用を実施したと発表した。
テスト運用の結果を踏まえ、2022年の実装に向けて協議を進めていくという。
サッポロビールが持つ140年を超える歴史の中で、モノづくりのために研究開発に取り組んできたが、技術者の長年の経験による熟練技術を人から人へと伝承することが必要であり、またその技術習得に長い時間を費やすこともつねだったという。
こうした課題の解決に向けて両社は、RTD新商品開発のDX化への挑戦として、AI技術を活用した開発商品レシピ作成のテスト運用を実施した。
日本IBMは、顧客のDX推進に向け、データドリブンでの施策策定・実装支援している。今回、豊富なDX事例の実績を持つデータサイエンティストやコンサルタントが中心となり、企業内に蓄積されたデータの分析と、AI予測エンジンの導入を支援した。
なお、システム構築では、商品開発システムのアルゴリズム作成にあたり、過去のレシピの官能評価データと採用された香料の特徴に関する情報をAIに学習させている。
また、立案された新商品コンセプトを元に、香味特徴と目標とするプロファイルを入力。AIが学習したデータをもとに分析し、目標とするコンセプト・香味プロファイルに合致するレシピ(推奨配合骨格と推奨香料)が出力する仕組みになっている。
テスト運用では、出力された配合に基づいて作られた試作品が、立案されたコンセプトに合致した、良好な香味であることを確認。レシピの検討時間についても、従来と比較して50%以下に削減されたという。
同社では、日本IBMの支援により開発したシステムを通じ、長年の経験を要した熟練技術の伝承のほか、新商品のレシピの効率的な考案が可能になると見込んでいる。
さらに、人では思いつかない創造性を伴う商品レシピが生み出されることについても期待している。
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