Facebookのリーク文書で分かった3つの大きな問題点

Queenie Wong (CNET News) 翻訳校正: 佐藤卓 吉武稔夫 矢倉美登里 高橋朋子 (ガリレオ)2021年10月26日 13時03分

 Facebookで製品マネージャーを務めていたFrances Haugen氏が、同社の行動原理に疑問を投げかける調査資料をリークしたのは自分だと名乗り出たとき、同氏が以前の雇用主に対する信頼を大きく失っていたことは明らかだった。

Frances Haugen氏
Frances Haugen氏
提供:Photo by Matt McClain-Pool/Getty Images

 「Facebookは何度も、より多くの金を稼ぐといった自社の利益のために最適化することを選んだ」と同氏はテレビ番組「60 Minutes」で語っていた。

 Haugen氏の弁護士は、米証券取引委員会(SEC)に提出した申立書の中で、世界最大のソーシャルネットワークであるFacebookが、偽情報やヘイトスピーチ、人身売買を助長する役割を果たし、10代の若者のメンタルヘルスに悪影響をもたらしている点に関して、投資家や大衆を欺いたと主張した。Haugen氏はこの主張を裏付けるために、膨大な量の内部調査資料をコピーした後、5月に同社を辞職した。

 これらの調査資料がThe Wall Street Journal(WSJ)の連載記事「The Facebook Files」の基礎となり、Facebookが自社のプラットフォームの有害性を以前からどれほど把握していたのかが明らかにされた。現在、Associated Press(AP)やThe New York Timesなど17の米報道機関がこの文書へのアクセスを得て、独自の記事を掲載している。

 ここでは、Facebookの文書について書かれた記事から、いくつかの重要なポイントを紹介しよう。

Facebookは発展途上国でのコンテンツ規制に苦労している

 APReutersThe Washington Postなどは、Facebookがインドなどの発展途上国で、ヘイトスピーチや暴力を助長するコンテンツを効果的に規制することに苦労していると報じている。

 問題の一端は、Facebookが適切な語学力や文化的背景の知識を備えたコンテンツモデレーターを十分に雇用してこなかった点にある。

 「世界全体を同じ水準でサポートできないというのが、辛い現実だ」。The Washington Postが閲覧した2019年の社内向け投稿で、当時Facebookで市民的品位の担当責任者を務めていたSamidh Chakrabarti氏はこう記している。

 中東では、家事労働者の取引や売買にFacebookが利用されてきた。しかし同社は人身売買を規制しきれず、このような問題に関する懸念から、Appleは2年前に、FacebookとInstagramをアプリストアから削除すると警告さえしていたと、APは報じている。

 Facebookは23日のブログで、ミャンマーやエチオピアなどに投入するリソースを増やしていることを明らかにした。同社は70言語以上のコンテンツをチェックするグローバルチームを含め、安全やセキュリティ対策に4万人を投じているという。

従業員は米大統領選に向けた体制が不十分と感じていた

 発展途上国でコンテンツモデレーションに苦労する一方で、Facebookの従業員らは、2020年米大統領選挙に向けた偽情報の取り締まりに関しても、自社の体制が十分ではないと感じていたようだ。

 Donald Trump氏の支持者らは、同氏が大統領選でJoe Biden氏に敗れると、選挙で不正があったとする虚偽の主張を投稿した。その後、FacebookはTrump氏のアカウントを少なくとも2023年まで停止する措置を講じたが、これは2021年1月の米議会議事堂襲撃事件を受け、同氏の発言が暴力を誘発する可能性を懸念したからだ。

 NBC Newsによれば、Facebookが自ら実施した調査は、同社のプラットフォームが「QAnon」に関する資料など、より過激なコンテンツをユーザーにリコメンドしていたとの結果を示していたという。また、「Stop the Steal(盗みを止めろ)」運動に歯止めをかける体制が「整っていない」との結果も出ていたと、CNNは報じている。

 Facebookは22日のブログで、「暴動の責任は、その暴動の最中に法を破った者と彼らを扇動した者にある」と述べた。

10代の若者がFacebookから離れつつある

 今回の資料には、Facebookが10代の若者を自社のプラットフォームに引きつけられずにいることを示す複数のデータも含まれていた。

 The Vergeによると、Facebookのある研究者が2021年に入って社内で共有したデータには、米国に住む10代のFacebookユーザーが2019年から13%減少しており、さらに今後2年間で45%減少する見込みであることが示されていたという。

 Bloombergも、10代の若者が1人で複数のアカウントを利用していることや、あらゆる年齢層のユーザーで投稿数が減少していることを指摘している。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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