Facebook傘下のInstagramは、10代のユーザーを失うことを懸念し、マーケティング予算の多くを、10代にサービスをアピールする目的に割り当てていたという。The New York Times(NYT)が米国時間10月16日、社内文書や匿名情報筋の話を元に報じた。この報道に先立ち、内部告発者がThe Wall Street Journal(WSJ)に対し、Instagramが10代の心の健康に悪影響を与える可能性をFacebookが把握していたことなどを示す文書についてリークした。
「米国の10代ユーザー層を失えば、パイプラインを失う」。2021年のマーケティング戦略を示すInstagramの2020年10月の社内メモにこう書かれていたとNYTは16日に報じた。
2018年以降、Instagramのグローバルな年間マーケティング予算のほぼすべてが10代をターゲットとしたメッセージングなどに充てられていたとNYTは指摘する。2021年の予算は3億9000万ドル(450億円)だという。マーケターらはNYTに対し、特定の年齢層に著しく焦点を絞ることは異例だと述べた。NYTは、最終的な支出には、保護者や若年層をターゲットとしたメッセージングも含まれていると報じた。Instagramは、10代ユーザーの獲得をめぐり、TikTokやSnapchatなどのサービスと競合している。
Facebookの元製品マネージャーFrances Haugen氏が社内文書をWSJにリークしたことを受け、FacebookとInstagramは、若年層のユーザーをめぐって苦境に立たされている。WSJは9月、Instagramが若年層ユーザー、特に10代女子の「かなり大きな割合に対して有害」であることを、Facebookの研究者が調査で明らかにしていたと報じた。落ち込み、不安、体型コンプレックスなどの問題が懸念されているとWSJは報じていた。Haugen氏は10月に入り、米議会でも証言し、Facebookの製品は「子どもに害を与え、分断を助長し、民主主義を弱体化させている」などと主張した。
Facebookは、Instagramに関する調査の目的と結果が誤って伝えられているとして反論した。調査では、10代のユーザーが、実際にはInstagramを利用するメリットを感じていることが分かっているとしていた。
Facebookの広報担当者は16日、NYTの報道を重視しない姿勢を示した。「マーケティング予算のすべてを10代に充てているというのは事実ではないが、10代がわれわれにとって最も重要なコミュニティーの1つだということは、これまでに何度も述べてきた。10代はトレンドを早期に見つけ、作り出すためだ。10代がわれわれのマーケティング戦略の一環であることは、意外ではないはずだ」(広報担当者)
Instagramは9月、13歳未満の子ども向け「Instagram Kids」の開発を一時中止した。
NYTは16日の記事の中で、Facebookは、13歳をターゲットとした広告が、年上の兄弟姉妹や友人のようになりたいと思う低年齢層の子どもの関心を引く可能性があることを認識していたと報じた。マネージャーらは従業員に対し、Facebookは13歳未満のユーザーがInstagramに登録しないようできる限り手を尽くしているが、子どもたちがInstagramにサインアップすることを止められないと話していたという。NYTは匿名情報筋の話として伝えている。
Instagramの責任者Adam Mosseri氏はInstagram Kidsの開発について、やはり「正しい行動」だと考えていると述べていた。子どもたちは既にオンラインで年齢を偽ってInstagramを利用しているためだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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