特殊冷凍のデイブレイクに聞く最先端の冷凍技術--飲食業と食品ロス削減、凍らせたその先 - (page 2)

急速冷凍の主流は「エアーブラスト方式」と「リキッド方式」の2種類

 導入コストは、1時間あたり約10kgの食材を冷凍できる冷凍能力3馬力のモデルが約350万円、1時間あたり約25kg冷凍できる5馬力のモデルが700万円ほどだという。

 「従来の飲食店をやっていても客が来ないため、テイクアウト強化型の飲食店や通販などに参入したいところが、事業再構築補助金などを利用して導入しています。売り上げを向上させるために通販やテイクアウト、食品小売などの事業を始める方が多いです。生産性の改善の面では廃棄ロスを減らして原価率を下げ、労働時間を減らして人件費を下げるという目的もあります。人件費率と原価率が5%下がればそれだけで営業利益率が5%上がりますし、さらに新規事業の売り上げも伸びることで、営業利益額では導入前の2〜3倍になったという声もいただいています」(春日氏)

 導入される店舗や企業の規模はさまざまだが、ボリュームゾーンは年商1億〜10億円ぐらいの飲食店で、店舗数では2〜3店舗ぐらいから、10〜15店舗ぐらいまでのレンジとのことだ。

 急速冷凍機の冷凍方式はさまざまだが、空気で冷却する「エアーブラスト方式」と液体で冷却する「リキッド方式」の2つが主流という。

エアーブラスト方式の急速冷凍機。さまざまな方向から冷たい空気を送り込むことで急速に冷却する
エアーブラスト方式の急速冷凍機。さまざまな方向から冷たい空気を送り込むことで急速に冷却する

 エアーブラスト方式は冷却した空気を吹き込むことで、食材の形を保ったまま冷却できるのが特徴だ。リキッド方式は食材を真空パックしてからアルコールなどの媒体(ブライン)に入れて凍結する。

リキッド方式の急速冷凍機
リキッド方式の急速冷凍機
液体に浸すと、みるみるうちにこんにゃくゼリーが固まっていった(取り出したところ)
液体に浸すと、みるみるうちにこんにゃくゼリーが固まっていった(取り出したところ)

 「リキッド方式はお刺身などを真空パックする工程で細胞や包丁で切った角がつぶれてしまうため、そのまま凍結できるエアーブラスト方式の方が汎用性が高いというのがわれわれの結論です。ただ、液体の方が熱伝導率が高いので、たとえば肉の大きな塊などを素早く凍結させるのには向きます。ただしアルコールを拭く工程が発生することも考慮する必要があります」(春日氏)

 デイブレイクは、東京・天王洲(東京都品川区東品川)の本社近くに急速冷凍機をテストできるショールームを用意している。この10月にリニューアルしたばかりで、希望する事業者は食材を持ち込んで2種類の方式による凍結テストを行える(事前予約制)。

東京・天王洲(東京都品川区東品川)の本社近くにあるショールーム
東京・天王洲(東京都品川区東品川)の本社近くにあるショールーム

 「食材を凍結している間にいろいろな説明をして、その後に解凍して試食するといったデモを行っています。あまりに大量だと後からお送りして、自社で解凍して食べていただくこともあります」(春日氏)

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