Facebookは米国時間8月4日、同ソーシャルネットワーク上の政治広告を分析するニューヨーク大学(NYU)のプロジェクトに関連するアカウントを無効化したと発表した。Facebookによると、研究者らはFacebookユーザーのデータを同意なく収集していたという。
研究者らは2020年の米大統領選を前に、この「NYU Ad Observatory」プロジェクトを立ち上げた。ジャーナリスト、政治家、一般市民がより簡単にFacebookの政治広告ターゲティングに関する傾向を把握できるようにすることが、その目的だった。NYUはこのプロジェクトの一環として、Facebookユーザーが自分のウェブブラウザーに追加できる拡張機能を作成した。これは、ユーザーがFacebook上で目にした広告をコピーして、そのデータを公開データベースに保存するというもの。この拡張機能は、ユーザー名、ユーザープロフィールへのリンク、ユーザーがその特定の広告を目にした理由に関する情報も収集していたが、それらの情報は公開されていない。
しかしFacebookは、研究者らは「正式に許可されていない手段」によってユーザーからデータを収集することにより、利用規約に違反したと述べた。この拡張機能は、「それをインストールしていないFacebookユーザー、または収集に同意していないユーザーに関する」情報も収集していたという。
NYUとFacebookの対立は、Facebookがプライバシーと透明性の両方の問題のバランスを取ろうとしていることを示している。Facebookの政治広告ターゲティングは、2016年米大統領選中にロシアのトロールが政治広告を利用して米国人の分断を煽ったことを受け、さらに厳しい監視の目を向けられるようになっている。同社は、政治広告を検索するための独自の公開データベースを作成しているが、NYUは、同大学が構築したツールの方が機能が多いとしている。またFacebookは、2018年のデータスキャンダル以降、ユーザーのプライバシーを保護するための対策が十分でないことについても、批判されている。このスキャンダルでは、英国の政治コンサルティング企業Cambridge Analyticaが、最大8700万人のFacebookユーザーのデータを同意なく収集していた。
Facebookは、データ収集はユーザーのプライバシーを危険にさらすとして、NYUの研究プロジェクトに関連するアプリ、ページ、プラットフォームへのアクセスも遮断したと述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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