スマートフォンが多様化していくなか、ソニーの「Xperia 1 III」(「ワン マークスリー」と読む)は、写真家、映像制作者、オーディオファン、ゲーマー向けのツールという位置付けで登場した。クリエイティブなユーザー層を狙ったソニーのスマートフォンの第3弾だが、音楽バンドの3枚目のアルバムでもよくあるように、意気込みが成功につながるのはまれのようだ。
可動式の小型レンズで2つの焦点距離を切り替えられる最先端の望遠レンズを搭載し、米国では5Gをサポート、スマートフォンとしては初となる4K高リフレッシュレートのディスプレイを採用。ソニーは機能を詰め込こうとしすぎたあまり、本来なら最高傑作となるはずだったスマートフォンを、はからずも台無しにしてしまったのではないか、と疑いたくなる。1299.99ドル(約14万3000円)という価格を考えると、その欠点を無視するのは難しい。
ソニーから貸与された生産開始前の実機を1週間ほど試用してみて、見事な点と残念な点が同じくらいあるように筆者は感じた。写真と動画は素晴らしい。子どもの瞳にオートフォーカスをロックできる機能があるため、親御さんはこのモデルを検討すべきだろう。このXperia 1 IIIには、「Android」のフラッグシップスマートフォン群が備えるほぼすべての機能が搭載されている。
だが、目が飛び出るほど高い定価にもかかわらず、ソフトウェアに不具合が多く、標準の写真および動画の機能の配置が分かりにくいので、お勧めしにくい。購入を検討中ということなら、米国では事前予約が7月1日から始まり、出荷は8月19日からとなっている。また、9月26日までのキャンペーンを実施しており、Xperia 1 IIIを購入すると、1299.99ドルのままで同社の完全ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン「WF-1000XM3」と、「Call of Duty: Mobile」のゲーム内通貨4万3200CP分がもらえる(こちらも米国内でのキャンペーン)。これなら、出費の痛さが少しは軽減されるかもしれない。
Xperia 1 IIIでまず目につくのは、約6.5インチの4Kディスプレイだ。屋内では見事な美しさで、発色も素晴らしい。リフレッシュレートは60Hzか120Hzに設定できるので、アニメーションやゲーム画面は滑らかに表示される。リフレッシュレートは選択した値に固定されるため、120Hzに設定した場合は常にそのリフレッシュレートになり、バッテリー消費への影響が大きい。
4K解像度は印象的ではあるものの、ディスプレイに高評価を与えるのは難しい。4Kより解像度が低くてもリフレッシュレートが高い、例えば「Galaxy S21 Ultra」などの画面と比べて、劇的に良いわけではない。一方、このスマートフォンを屋外で使ってみると、ディスプレイの弱点が明らかになる。Xperia 1 IIIの画面はそれほど明るくなく、晴れていると、画面の内容がほとんど判別できない。
ソニーの「Xperia PRO」と同様、Xperia 1 IIIもカメラ専用機の外部モニターとして使うことができる。Xperia PROと全く同じ機能を備えているわけではないが、この機能があるのはいいことだ。試用した時点で、Xperia 1 IIIの「外部モニター」アプリはバグが多かった。うまく動くときには、素晴らしかったのだが。
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