背面にはカメラが3つある。メインは1220万画素の広角カメラで、センサーを大型化して暗所での撮影性能が上がっている。他の2つは1220万画素の超広角カメラと、1220万画素の可変式望遠レンズカメラだ。可変式望遠レンズは確かに驚異的な技術だが、実際に目に見える長所という点で考えると、やはり疑問が残る。例えば、占有面積は小さくなっているにもかかわらず、本体の価格は下がっていない。それどころか、Xperia 1 IIIは2020年モデルの「Xperia 1 II」から100ドル(約1万1000円)も高くなっている。
汎用性を求めているなら、2種類の望遠カメラが使えるレンズがあるのはありがたい。だが、Galaxy S21 Ultraなどの他のスマートフォンでも、独立した2つの望遠カメラを使って類似の機能は実現されている。幸い、Xperia 1 IIIのズームレンズで撮影した写真は圧巻で、特に画質とディテールは優秀だ。実際、全体的に見ても、Xperia 1 IIIの背面カメラは、画質と色に関してGalaxy S21 Ultraと互角だといえる。筆者が実機で撮影した写真はこちらから確認できる。
だが、特筆すべき機能は可変式望遠レンズではない。「瞳AF」(瞳を検出するオートフォーカス)だ。といっても、これは「Xperia」シリーズには前からある機能で、ミラーレスカメラとして人気が高いソニーの「α」シリーズから受け継いだものだ。基本的に、「Photography Pro」アプリを起動して写真を撮影しようとすると、ビューファインダーに写った人や動物を認識して、その瞳にフォーカスをロックする。被写体が動いたり、向きを変えたりしても、瞳AFは追尾を続ける。画面をタップする必要すらない。「ピントがしっかり合った」子どもの写真を撮りたい親御さんや、ペットのぼやけていないスナップ写真を撮りたい飼い主に、瞳AFはうってつけだ。
前面カメラは、背面カメラと比べてまず及第といった程度だ。800万画素で、平均的な写真は撮れる。写真家向けで、まして価格が1299.99ドルもする以上、筆者はもう少し上を望んでしまう。前面カメラも、背面カメラに近い画質であってほしかった。さらに、「Cinematography Pro」アプリで前面カメラを使って自撮り動画が撮れたらよかったと思う。
Xperia 1 IIIでもハードウェアのシャッターボタンは健在で、これはうれしい。また、Android標準のカメラアプリと、プロ仕様のカメラアプリ2種類をそれぞれ用意するのではなく、Photography ProアプリとCinematography Proアプリを搭載している。ソニーがシンプルさを目指しているのは歓迎なのだが、不思議なのはそのやり方だ。Android標準のカメラアプリを取り除き、その機能をPhotography Proアプリの「BASIC」モードとして残しているのだ。実際、そういう名前の機能がある。
動画を記録し、スローモーションモードを使おうとするのにPhotography Proアプリを開くというのは奇妙な感じがする。もっといい手順があるはずだ。BASICモードで動画を撮影するときには、録画停止ボタンを押してから実際に録画が停止するまでに時間がかかる。そのため、タップが認識されなかったと思ってもう一度タップしてしまい、最初の録画が停止して次の録画が始まってしまうことがあった。それに、動画の撮影中はカメラを切り替えられない。録画を始めたときがデジタルズームなら、デジタルズームのままということだ。
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