筆者(米CNETの記者)がソニーの「Xperia 1 II」について誰かに話をすると、「ソニーって、まだスマートフォン作っていたの?」という反応が返ってきた。確かにXperia 1 IIは、「iPhone 11 Pro」やサムスンの「Galaxy S20」のような一般向けではない。ソニーが狙っているのは、写真や動画をもっと自由に自分で操作したいと考えるクリエイティブ層なのだ。そのために、1199.99ドル(日本ではNTTドコモが税込12万3552円、auが同13万3600円)という価格設定の本体には、同社の人気フルサイズミラーレスカメラ「α」シリーズの機能とツールが搭載されている。本記事ではその点を詳しくみていく。
カタログ上ではXperia 1 IIも、「Snapdragon 865」プロセッサーを搭載したほかの旗艦「Android」端末とほぼ同等のように思える。6.5インチ4K OLEDスクリーンを採用し、5Gに対応(米国を除く)、背面にはメインの広角カメラ、超広角カメラ、望遠カメラを搭載している。3つとも、センサーは約1220万画素。
ただし、ここからがXperia 1 IIの違うところだ。まず、望遠カメラには35mm換算で70mmのレンズが採用されている。つまり、実際に望遠レンズを採用しているということだ(一般的には、望遠レンズを搭載するとうたっていても、実際には52~56mmくらいであることが多い)。また、本体には物理的なシャッターボタンがあり、これが実に使いやすい。さらに、カメラの機能を最大限に利用する3種類のカメラアプリがプレインストールされている。ひとつはXperiaのAndroid標準カメラアプリ。ほかの2つが「Photography Pro」と「Cinematography Pro」で、スマートフォンを使って写真や動画を撮影するときのあらゆる要素を網羅した細かいコントロールを実現している。
筆者にとってうれしいのは、これらのアプリのおかげでXperia 1 IIをスマートフォンというよりカメラのように使える点だ。そうなると、カメラが実際どのくらい優秀なのか気になってくる。特に知りたいのは、動画の撮影だ。それを調べるために、筆者はXperia 1 IIで短編映画を作ってみた。結果は実に感動的だった。
Xperia 1 IIの動画品質とCinematography Proアプリをテストし、それについて語るには、映画を作るプロセスをたどってみるのが一番いい。そこで、4分ほどの短編映画の脚本を書き、自ら出演して、撮影してみた。題して「I, Robber」。この下に載せた動画だ。どのシーンもCinematography Proアプリで撮影している。このアプリを使うのは、とても楽しかった。
この映画を撮るとき、物理的なシャッターボタンがあるおかげで、画面が見えないときでも自分の姿を撮影するのが簡単だった。しかも、Xperia 1 IIはミラーレスカメラに比べれば小さいので、いろいろな場所に設置して独特な視点からの場面を残すことができた。例えば、あるシーンではXperia 1 IIをキャビネットの扉の内側にテープで固定したこともあった。
本体の左側にはボタンがなく、わりと平たいため、Xperia 1 IIは自立させることもできる。倒れることも時々あったが。
動画重視の機能を提供するほかのアプリとは違い、Cinematography Proはレイアウトが詳細で、それでいて扱いやすい。最小限のメニューは実に分かりやすく、主な設定はすべてひと目で分かるようになっている。シャッタースピード、ISO、マニュアルフォーカスなどの調節も簡単で、2つの被写体の間でプルフォーカスを自動化することもできる。これは見ていて、なかなか気持ちがいい。
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