Facebookは米国時間6月4日、Donald Trump前米大統領のアカウントを少なくとも2023年まで停止すると発表した。その期間が終了する時点で、「公共の安全に対するリスクがなくなったかどうか、専門家に評価を仰ぐ」とした。
Facebookの監督委員会は、Trump氏のアカウントを無期限停止とする判断を支持していたが、Facebookに対し、規則を吟味し、Trump氏に対する停止措置の期間を決定するよう求めていた。監督委員会は、Facebookのコンテンツモデレーションに関する最も厳しい判断の審査を担っている。そうした中、Facebookの判断が待たれていた。今回の決定で非難の声が上がる可能性が高いが、そのことは同社も認識しているようだ。
Facebookは、ほかのソーシャルネットワークと同様に、1月6日に起きた米連邦議会議事堂の襲撃事件を受け、Trump氏のアカウントを停止した。同氏の発言がさらなる暴動を煽ることを懸念したためだ。停止期間は「無期限」とされていたが、監督委員会は、Facebookの規則にそのような罰則が定められていないと指摘していた。Facebookは4日、停止期間を2023年1月までとする方針を明らかにした。Trump氏のFacebookとInstagramが凍結されてから2年間となる。
Facebookの国際問題担当バイスプレジデントNick Clegg氏は、「私たちがどのような罰則を適用しても(あるいは適用しないことを選んでも)、議論を呼ぶことは分かっている。Facebookのような民間企業が、退陣する大統領をプラットフォームから排除することは適切ではなかったと多くの人が考えている。そして、Trump氏はすぐに永久に利用禁止とされるべきだったと考える人も多くいる」とブログ記事の中で述べている。
Facebookはこれまで、概して政治的な発言に干渉しない姿勢をとってきたが、危害を及ぼすリスクより報道価値が重視されることがないよう、バランスを取ろうとしている。Facebookは2年後に「暴力の事例、平和的な集会に対する制限、社会不安を示すその他の指標」といったさまざまな要因を検討し、FacebookとInstagramでTrump氏の投稿を再び許可するかどうかを決定するとClegg氏は説明した。
停止措置が最終的に解除される際には、厳格な制裁措置が用意され、Trump氏が将来さらに規則に違反すれば、速やかに発動されることになるという。最も厳しい場合、同氏のページとアカウントは永久に削除される可能性があるとされている。
Trump氏はFacebookの判断について、2020年の大統領選で同氏に投票した人々への「侮辱」だとコメントした。「このような検閲や口封じが許されるべきではない。最終的にはわれわれが勝つだろう。米国はこれ以上この虐待を受け入れることはできない」(Trump氏)
ホワイトハウスのJen Psaki報道官は4日、報道陣に対し、すべてのテクノロジープラットフォームには、誤った情報や偽情報を撲滅する責任があると話した。さらに、「私たちはこの2年ほど、前大統領から彼の振る舞い、そしてこれらのプラットフォームをどのように利用しているかということについて思い知らされた。この先2年で彼の主義が変わることはなさそうだと感じる」と述べた。
さらにFacebookはこのほかにも、政治的発言の扱い方に変更を加えることを明らかにした。例えば、規則に違反しているコンテンツを、削除せず残す報道価値があるかどうかをどのように判断するかということについて、さらなる情報を公開する。コンテンツに報道する価値があるかどうかを評価する際に、Facebookは「政治家が投稿したコンテンツを、それ以外の人が投稿したコンテンツと異なる方法で扱うことはない」という。Facebookは、すべてのコンテンツに対して同じように報道価値の判断基準を適用し、コンテンツを残しておくことで公共の利益が害を及ぼすリスクとなる可能性を上回るかどうかを判断するとしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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