いよいよWWDC21開催、Epicとの裁判の行方--Appleニュース一気読み

 Appleは、日本時間6月8日午前2時(米国時間6月7日)より世界開発者イベントWWDC21を開催する。2020年に続き、2021年もオンラインでの開催となる。

 今回のキャッチフレーズは「Glow and behold.」。直訳すると「輝きに注目せよ」となる。タイトルに現れるアニメーションは、MemojiがMacBookを開くと、メガネに開催日時である6月7日のカレンダーが映り込む。これは2020年11月にM1搭載Macを発表した際、その起動の速さをアピールしたCraig Federighi氏の仕草を再現したものだ。

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 今回のキャッチフレーズからすると、光や視線に関連するテーマが隠されている可能性がある。AppleはiPad Proに対して、ミニLEDバックライトを採用したLiquid Retina XDRディスプレイを採用した。Macラインアップにもこのディスプレイが展開される可能性を示唆するかもしれないし、噂が高まるARグラスの新しいOSが登場することも考えられる。

 2019年の開発者イベントまでは、1500ドル(約16万円)のチケットの購入権を世界中の開発者が抽選で争い、5000〜6000人の参加者が、カリフォルニア州サンノゼのカンファレンスホールで1週間過ごすお祭りだった。

 しかしCOVID-19のパンデミックの影響で、人が集まるイベントを回避することになり、2020年は初めてバーチャル開催を選択。場所の制約がなくなったため、抽選も参加費もなく、世界中の開発者が自由に参加できるオープンなイベントへと進化した。

 基調講演から始まる各種セッションは事前収録で、英語の音声に対して英語以外の言語にも字幕がついたため、日本人の開発者も母国語で最新情報をいち早く、公式の翻訳で得ることができるようになった。

 会場で行われていたWWDCの魅力の一つはAppleのエンジニアによるハンズオンだ。自分のアプリの課題を直接エンジニアに質問して解決を目指せる、WWDCに参加する大きな動機付けでもあった。WWDC21ではバーチャルハンズオンを用意し、オンラインで同等の体験を用意しようとしている。

 例年、WWDC21では、iOS / iPadOS / watchOS/ tvOS / macOSの各種OSの次期バージョンが披露され、その新機能や新たに利用できるAPIが事前に伝えられる。開発者はこの新しいOSに向けて、自社アプリに機能を追加したり、新たなアプリの開発に取り組んだりできる。いずれのOSも、9月に正式リリースされる見込みだ。

 2020年のWWDCでは、現在進行中のMacのIntelからApple Siliconへの以降が発表され、WWDC21は2カ年計画の折り返し地点にあたる。これまでエントリーモデル向けのMacがM1チップに置き換えられてきたが、今後、コア数、メモリを増加させる高性能化したApple Silicon搭載モデルが登場することになる。

 開発者との重要なコミュニケーションの場を控える中で、Appleは係争中だったEpic Gamesとの訴訟の最終弁論を終えた。

 Epic Gamesが人気ゲーム「Fortnite」のゲーム内通貨について、Appleの手数料30%を回避するためにアプリ内課金を回避して独自に販売したことから、App Storeの規約に違反するとして、AppleはFortniteの配信を停止する措置を執った。

 Appleはストアの安全性のために審査が必要である点を主張したが、EpicはAppleが独占的な立場を行使しているとして裁判で争われている。

 そうした過程で、Appleは年間の売上高1億ドル以下の小規模開発者の手数料を自動的に半額の15%に割り引くプログラムを用意した。またAppleがApp Storeで週に10万件のアプリを審査することによって、15億ドル以上の不正取引を阻止した成果をアピールした。

 米連邦地裁のYvonne Gonzalez Rogers判事は米国時間5月24日の最終弁論の場で、Appleに対しては、App Storeのアプリ課金において、競争相手がいないことにたびたび懸念を表明し、そのため30%というルールが長年維持されている点を指摘した。

 一方Epicに対しては、Appleの研究開発費の回収機会を損ねる点を指摘した。またこれまで裁判所が、反トラスト行為に対する解決策を講じた例がない点に触れ、両社に「解決策をいかに判決に盛り込めるか」問いかけている。

 これまでの一般的な見方では、AppleはアプリストアでGoogleと競合しており競争が保たれている。しかしiPhone向けのアプリストアはAppleが独占しており、開発者はApp Storeで30%ルールを回避しながらアプリを提供することはできない。

 AppleはWWDC21で、より踏み込んだ妥協策を用意するのか、どのような対話を開発者と行うのか、注目が集まる。

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