「ラブライブ!」ニジガク初のドームライブで見た“新たな夢の始まり” - (page 3)

 アンコールを求める手拍子や、ニジガクの日常を描いたようなライブ恒例の幕間アニメを経て、それぞれにアレンジしたライブTシャツを着てメンバーが再登場。アンコールでは、ニジガク始まりの曲でもある「TOKIMEKI Runners」からスタート。そしてソロ曲第2弾にあたる、2ndアルバム収録曲の9曲をメドレー形式で歌う。1stライブ以来の披露で、ある意味ではサプライズともいえる9曲を、それぞれがゴンドラやステージから歌声を届けていた。

「TOKIMEKI Runners」
「TOKIMEKI Runners」

 ゴンドラで歌った「Love U my friends」を経て、ライブのラストナンバーとなったのは、2度目の「NEO SKY, NEO MAP!」。ゴンドラからステージにメンバーが戻ってきたところで、黒のパラソルを手にした矢野さんも合流。エンディング映像で10人が虹を見上げる様子を再現して締めくくった。

「NEO SKY, NEO MAP!」
「NEO SKY, NEO MAP!」

 キャスト陣が念願としていたTVアニメの実現と、それをコンセプトとしたライブであること、初のドーム公演で有観客ということもあってか、夢が叶ったステージともいえるもので、ライブを重ねたことによる経験とクオリティの向上という以上に、大舞台でものびのびとパフォーマンスし、その喜びと楽しんでいるという様子が全編を通して伝わるものとなっていた。

 印象に残っている場面のひとつは「夢がここからはじまるよ」のところ。TVアニメとリアルなステージがリンクして進行するなかで、ニジガクのメンバーが観衆に向けた感謝の気持ちとメッセージは、アニメのなかの観衆だけではなく、あの場にいたり配信で見ていたファンに向けたものと思えるところもあった。

 そして前述した矢野さんのピアノ演奏も心に残るところ。演奏の際に、一旦拳を握って少し時間が経過してから鍵盤に手を置き、そしてかすかに「頑張れ」の声が聞こえ、そこから弾き始めたという場面となっていた。後のトークのなかで、矢野さんがピアノ演奏未経験から練習したということもさることながら、時間がかかったのは一瞬弾き始めがわからなくなったとのこと、そして「頑張れ」の言葉をかけたのは大西さんと明かされ、侑と歩夢の関係性と絆がリアルでもリンクしているように思えるものとなっていた。

ピアノ演奏を行う矢野妃菜喜さん(高咲 侑役)
ピアノ演奏を行う矢野妃菜喜さん(高咲 侑役)

 また、ライブタイトルに「夢の始まり」とあるなかで、キャスト陣のトークのなかでは、大西さんが“口に出して言えば願いは叶う”として、新たな夢を語ったところもあった。その前に久保田さんが、この状況下でライブができたことに感謝しつつも、もう一度メットライフドームに立つときは満員にしたいと話したことを受け、大西さんからも改めて満員のメットライフドームでライブがしたいと語ると、ほかのメンバーからも観衆の声が聞きたいと声をあげていた。さらに勇気を持って言ったと推察されるほど目を潤ませながら、大西さんは「東京ドームにもいきたい!」「紅白歌合戦にだって出たい!」「虹ヶ咲にしかできないようなこともしたい!」と口にし、他のメンバーも同調するようにシュプレヒコールを挙げていた。

 こうした願望だけではなく、新たな夢がかなったと思える発表もあった。今後の展開について、TVアニメ2期の制作決定を発表。2022年の放映予定で、ティザービジュアルも公開された。このときはステージ上にいた矢野さんを含めた全員で喜びを分かち合う一幕も。こうしたことも含めて、ニジガクの夢が叶い、そして新たな夢の始まりを感じられるステージと思えた次第だ。

TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」2期制作決定の発表時に公開されたイラスト
TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」2期制作決定の発表時に公開されたイラスト

 また余談ではあるが、ニジガクのメンバーはみんな個性的かつ魅力的で、“ヒトリダケナンテエラベナイ……”という心境も少しあるのだが、筆者お気に入りのメンバーがエマ・ヴェルデということを踏まえて印象に残ったところもある。まずは「La Bella Patria」のライブ初披露だろう。

 「La Bella Patria」がTVアニメで披露された第5話は、エマと果林を中心として、果林の心を解きほぐす内容。アニメPVでのエマは、作中で果林が薦めた、白とライトグリーンを基調とし、大きなリボンも目を引くドレス風衣装に、背中にはエマが虹ヶ咲学園に来た時を想起させる麦わら帽子という姿。それを再現した衣装に身を包んだ指出さんが、スクリーンに映し出されたエマとともにパフォーマンスを行った。

「La Bella Patria」
「La Bella Patria」

 センターステージでの披露で、緑のコンサートライトが広がる光景は草原のよう……というのもあるのだが、メットライフドーム特有の球場と屋根の間から木々が見えるという、自然を感じられる光景があるなかで歌っているというのも、どこかエマの出身でもあるスイス感があるというもの。さらに曲中でのライトや電飾には、一部で果林のイメージカラーであるロイヤルブルーも織り交ぜられており、エマと果林の関係をイメージさせる“エモい”部分でもあった。

 前に向かって指をぐるぐるとする特徴的な振り付けもさることながら、サビの部分で腕を伸ばして差し出すようにするところは、エマとしても指出さんとしても“説得力”みたいなものを感じていたところで、それがステージと映像で重なるところはグッとくるところ。また、これまでのエマのソロ曲に比べてかなりアップテンポながら、センターステージ全体を使って常に軽快と感じられるダンスとステップ、そしてエマとしての癒し感あふれる歌声を響かせ続けていたのが、とても心に残ったところ。終盤では背中の麦わら帽子が取れてしまうハプニングもあったが、映像で映し出される光景に情緒感があったのはライブの妙で、指出さんが大きく動き続けたことの現れと思えるもの。なにより、スクールアイドルになるために日本にやってきたエマが、スクールアイドル感あふれる楽曲で、大舞台でステージに立ったと感慨深くなる、それを指出さんが体現されたと感じられるものとなっていた。

 さらにアンコールのメドレーで「声繋ごうよ」を歌ったところも印象的。以前歌われた1stライブでは、キッズダンサーが登場してのステージとなっていたが、今回は終盤にメンバーが登場するサプライズ。当時のダンスを再現したほか、指出さんが子どもになりきるメンバーの頭をなでたり、“おてて”を繋いでのダンスもあり、最後には指出さんを中心に集まって笑顔で手を振るという、まさに“歌のおねえさん”なステージに。

 奇しくも、公演日にはスクスタの公式サイトで「スクスタでのエマ・ヴェルデちゃんについてもっと知ろう!」というのが更新されており、そこにある「同好会のメンバーをお母さんのように包み込む心の優しい女の子」という一文がピッタリとくるものとなっていた。なにより、このときのメンバーの笑顔を見ていると、エマが目指す“心をぽかぽかにする”を体現したものと思えた次第だ。

 そして最後に、大西さんが口にした新たな夢についても触れておきたい。その内容は前述した通りだが、それはシリーズのスクールアイドルグループが実現してきたものでもある。筆者としても、μ’sの東京ドーム公演、Aqoursが3度にわたって行ったメットライフドーム公演に、東京ドーム公演と、ステージ裏の完全見切れ席までファンで埋め尽くし、大歓声に包まれていた光景を見てきただけに、その光景をニジガクでも見たいと思ったのと同時に、満員で歓声が聞こえるライブが問題なく行われる状況になることを願ってやまない。

 今後の展開として、前述したTVアニメ2期以外にも、4thライブの開催を告知。さらにスクスタについては、「夢がここからはじまるよ」を3D楽曲として6月に登場予定となっている。

 このほか、ニジガクメンバーの日常を描いた4コマコミックムービー「にじよん シーズン4」が、7月からラブライブ!シリーズ公式YouTubeチャンネルにて配信を開始。このほかファンディスクの制作や、TVアニメの「お気に入りシーンTシャツ」制作も決定。今夏発売予定のTVアニメオフィシャルブックのカバーイラストも公開した。

TVアニメオフィシャルBOOKカバーイラスト
TVアニメオフィシャルBOOKカバーイラスト

(C)2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

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