IBMの研究チームは、視覚障がい者がソーシャルディスタンスを保ちつつ何らかの待機列に並べるよう支援するため、スマートフォン用アプリ「LineChaser」を開発した。
周囲の状況を把握しにくい視覚障がい者にとって、順番待ちなどの列に並ぶ行為はとても難しい。列が進むのに合わせての移動も困難だ。特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策でソーシャルディスタンス確保が求められる現在は、難易度が上がった。白杖や盲導犬に頼ることは現実的でない。
研究チームの開発したLineChaserは、スマートフォンのカメラで撮影した映像から近くにいる人の存在を認識し、同時に赤外線(IR)深度センサーでそうした人々との距離を計測する。そして、こうした情報を解析することで、人々が列を作っているかどうか判断するそうだ。
行列と判断した場合は、スマートフォンの音声とバイブレーションでユーザーを列の最後尾へ誘導する。列が進むとそのことも通知し、前進を促す。前にいる人の方向と、その人までの距離も常に確認できるので、ソーシャルディスタンスを保ちつつ列に並んでいられる。
このアプリは、IBMの研究開発部門であるIBM Researchに所属するIBMフェローで、カーネギーメロン大学(CMU)教授の浅川智恵子氏と、IBM Research東京の高木啓伸氏に加え、IBM Research東京のインターンで早稲田大学の学生である栗林雅希氏と粥川青汰氏が開発した。
自身も視覚障がい者である浅川氏は、視覚障がい者の単独移動を支援するアプリなどを以前から研究している。この4月には、日本科学未来館(未来館)の館長にも就任した。
LineChaserの紹介ビデオ(出典:粥川青汰氏/YouTube)
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