科学技術振興機構(JST)は、運営している科学館「日本科学未来館(未来館)」(東京都江東区)の新館長として、IBMのIBMフェローである浅川智恵子氏を選任すると発表した。就任は2021年4月1日の予定。現館長は、元宇宙飛行士の毛利衛氏。
日本科学未来館は、2001年に開館した国立科学館。館長は、開館当初から毛利氏が務めてきた。
浅川氏は、1985年に日本IBMに入社し、2009年に日本IBMとして3人目のIBMフェローに就任。視覚障がい者であり、アクセシビリティの研究開発に取り組んできた。目の不自由な人々の行動を手助けする技術の開発に携わり、たとえば日本語デジタル点字システム、ウェブページ読み上げ技術「Home Page Reader(HPR)」、視覚障がい者向けの外出支援アプリ「NavCog」や単独行動支援スーツケースを世に送り出した。
なかでも、HPRは全米発明家殿堂(National Inventors Hall of Fame:NIHF)に評価され、2019年の殿堂入り対象者に選ばれた。
館長就任に臨み、浅川氏は抱負を表明している。
まず、「誰一人取り残さない、ダイバーシティ(多様性)を大切にするインクルーシブな社会の実現」に科学技術を通して貢献するそうだ。具体的には、これまでの研究をさらに発展させ、館内で新たに研究室を設置し研究を展開する、とした。これにより、女性や障がい者、あらゆる年齢層の人にとって来館しやすい環境づくりに尽力するという。
さらに、先端技術でスマートな社会の実現を目指す概念、Society 5.0を念頭に置き、未来館を「インクルーシブな未来社会をいち早く体験し、社会に実装する道筋を皆さまと共に構想する場」にするため、展示や情報発信などさまざまな活動に取り組んでいくという。
なお、浅川氏は館長就任後もIBMフェローを兼務する。
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