Googleの人工知能(AI)部門の研究マネージャーで著名なサイエンティストのSamy Bengio氏が米国時間4月6日、同社を離れる意向を明らかにした。同氏のチームでは、AI倫理の研究者2人が退社を余儀なくされ、この問題をめぐって数カ月にわたって混乱が続いた。
Bengio氏は、Googleに14年在籍するベテランで、ディープラーニング(深層学習)やAIを主要研究テーマとするGoogle Brainチームのグループを率いている。GoogleはBengio氏の退職を認めたが、それ以上のコメントは控えた。米CNETはBengio氏にもコメントを求めたが、回答は得られていない。
Bloombergによると、Bengio氏はスタッフに宛てた電子メールで、「私は皆さんとともに、機械学習の研究に関してはもちろん、そして長期的に野心的な研究、探求、厳しさ、多様性、インクルージョンを推し進めるために、大規模な研究者のチームを組織することがいかに難しいが重要かということについても非常に多くのことを学んだ」と書いている。従業員の退職については言及していないようだ。
Bengio氏は、2020年12月にGoogleのAI倫理部門が大きな騒動の渦中に置かれて以降、同社を離れる従業員の中で最も高い地位にある。この分野で数少ない著名な黒人女性研究者Timnit Gebru氏が同月、解雇されたとツイートした。AIに潜むバイアスのリスクを指摘する論文をめぐる意見の相違により、対立が生じたとしていた。同氏が問題視したAIには、Googleの検索エンジンに使われているシステムも含まれていたという。
さらにGoogleは2月、Ethical AI(倫理的AI)チームをGebru氏と共同で率いていたMargaret Mitchell氏を、企業データの取り扱いをめぐる調査を行ったのちに解雇した。Mitchell氏は、Gebru氏への差別的な処遇の実例を見つけるために、自動化ソフトウェアを使って自身が過去にやりとりしたメッセージを調べていたとみられている。
Bengio氏はGebru氏の退職を受け、FacebookでGebru氏を支持する声をあげていた。
その後、GoogleはAI開発に取り組むチームの再編成を進めており、責任あるAIの開発に集中して取り組むことを明らかにした。新しいチームは、Googleのエンジニアリング担当バイスプレジデントMarian Croak氏が率いるとされている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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