Googleは米国時間2月19日、Ethical AI(倫理的AI)チームの共同リーダーを務めていたMargaret Mitchell氏を解雇した。12月には、チームのもう1人のリーダーTimnit Gebru氏が解雇され、物議をかもしていた。混乱の最中にあるチームの緊迫した状況をエスカレートさせることになりそうだ。
Mitchell氏は、企業データの取り扱いをめぐってGoogleの調査を受けていたという。Gebru氏に対する差別的な処遇の例を見つけるために、作業を自動化するためのスクリプトを使って、自身が過去にやり取りしたメッセージを検索していたとみられている。Mitchell氏は、Googleが調査を行っている間、数週間職務用アカウントをロックされていると述べていた。
Mitchell氏は19日、「解雇された」とツイートした。米CNETは同氏にコメントを求めたが、回答は得られていない。
Googleは同氏の解雇について認めた。「このマネージャーの行為を調査した結果、ビジネス上の機密文書と他の従業員の個人データの不正取得など、当社の行動規範とセキュリティーポリシーに対する複数の違反があったことを確認した」(Google)
Googleは、人工知能(AI)分野で活躍する数少ない黒人女性の1人であるGebru氏を解雇したことで批判を浴びる中で、Mitchell氏を解雇した。Gebru氏は12月、Googleの検索エンジンで使われているシステムを含む、AIにおけるバイアス(偏見、先入観)の危険性を訴えた研究論文を理由に解雇されたと述べていた。またGoogleの複数の従業員宛てに、同社の多様性や公平性関連の取り組みを批判するメールを送付していた。
Gebru氏の解雇をめぐっては、Googleの一般従業員の間だけでなく、ハイテク業界中にも広く、激しい抗議が巻き起こった。2700人近いGoogle従業員が、同氏を支持する公開書簡に署名した。同氏が所属していたチームの従業員らは、最高経営責任者(CEO)のSundar Pichai氏にも、Gebru氏の復職を求める書簡を送付していた。
Googleは19日、Gebru氏に対する同社の処遇に関する社内調査を終了したことも明らかにした。同社は、社外の専門家とともに調査したとしているが、調査の結果を明らかにすることを控えた。Googleの広報担当者は、調査の実施方法に関する具体的な質問に答えなかった。
Googleは調査を受け、人材(HR)とダイバーシティー(多様性)に関するポリシーを変更すると述べた。ダイバーシティーの目標を、バイスプレジデント以上の幹部による業績評価と関連付けるとしている。また、従業員の維持に関わるチームを強化するという。議論を呼ぶ可能性のある従業員の退職に関する対応について、HR専門家の意見を仰ぐ。
19日のこのポリシー変更に対し、Gebru氏と同氏の支持者らは批判の声を上げた。
Gebru氏は、「私は物事を求めるメールを書いて、解雇された。その後の3カ月にわたる調査の末に、彼らは、自らの行動に誰も責任を負うことなく、おそらく私が職を失う原因になった要求のいくつかを、実行しなければならないかもしれないと述べている」とツイートした。さらに、別のツイートでは、「そこには何の責任もない。ゼロだ」としている。
米CNETは同氏にさらなるコメントを求めたが、回答は得られていない。
Googleは18日、AI開発に取り組むチームを再編成すると発表した。新しいチームは、Googleのエンジニアリング担当バイスプレジデントMarian Croak氏が率いる予定だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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