米連邦最高裁判所は、Googleが「Android」OSのアーキテクチャーをめぐってOracleと争っていた裁判で、6対2でGoogleを支持する判決を下した。同裁判所は米国時間4月5日、Stephen Breyer判事が記した判決文を公開し、その中で「GoogleによるJava SE APIのコピーは、プログラマーが自らの蓄積された才能を新しい変革的なプログラムで機能させるために必要なコード行のみを含むものであり、法律に基づく素材のフェアユース(公正な利用)だった」としている。
この訴訟の争点は、Googleが高い人気を誇る同社のAndroid OSの開発にあたって、Sun Microsystems(以下Sun)の約1万1500行のJavaコードをコピーしたというOracleの主張だった。Oracleは2010年にSunを買収した後、Googleがそのソフトウェアを違法に使用していることで90億ドル(約9900億円)近い損害を負ったとしてGoogleを提訴した。
Googleは、自社による同ソフトウェアの使用は「フェアユース」として認められるものだと主張し、2016年にはこの問題をめぐる最初の主要な訴訟で勝訴したが、その2年後の控訴審ではその判決が覆された。Googleは何度も最高裁判所にこの裁判の審理を求め、最高裁判所は2019年、その上告を受理した。
今回の判決は、ハイテク業界全体に波及するものだが、これはハイテク大手2社による世界で特に大きな法廷の場での争いという稀なケースだったからというだけではない。企業がソフトウェアを開発する上で、どのコードの使用がフェアユースに該当するかという判断にも影響を与えるためだ。Googleは、自社の行為が違法とされた場合、イノベーションが阻害されると主張した。それに対し、OracleはGoogleの主張を「後進的」だとし、知的所有権を弱体化させることが創造性を促進する可能性があるという発想に嫌悪感を示した。
10月に最高裁判所の審理が始まった時、Googleの弁護人であるThomas Goldstein氏は、GoogleはAndroidの構築において再作成できないコード部分のみを使用したと主張。同氏はコードを、保護されるべきではない「結合組織」になぞらえ、その部分は「鍵が鍵穴にぴたりとはまるように」動作すると述べた。
John Roberts最高裁首席判事はその際、「金庫破りは、欲しいお金を得るための唯一の手段かもしれないが、だからといってそれをして良いということにはならない」と応じ、「それが唯一の手段ならば、あなたがそれを行うための方法はライセンスを得ることだ」とした。ただし、同判事は最終的に、Google支持という多数派の意見に同意した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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