リコーは3月8日、ゴーグルなどなしに裸眼で立体映像が見られる投影装置を開発したと発表した。新事業創出に向けたプログラム「TRIBUS 2020」において、同社のチームが手がけたもの。まずはデジタルサイネージ用途に向け、3月から「WARPE」(ワープイー)ブランドとしてビジネスパートナーを募り、市場探索を開始する。
同投影装置は筒状で、大人が見下ろした程度の高さに映像が浮かんで映し出される。現時点では人の頭のサイズ(直径200mm、高さ250mm)で立体映像のカラー動画表示が可能だ。
裸眼で立体映像が見られるしくみは、装置の真下から上に向けて光を投射し、独自開発した特殊な回転スクリーンに当たった光の残像で立体映像を表示させる。コンテンツは、FBXなど一般的な既存の3Dモデリングデータをもとに作成でき、独自変換をかけることで映し出せる。
他社にも同様に裸眼で見られる立体映像装置はあるが、視野角が狭く、後ろに回り込むと見えないことがある。WARPEは、全方位から立体映像を見られることを特徴とし、大人から子どもまでどの角度でも立体映像が楽しめる。
開発にあたっては、三次元酔いを起こさずに、現実空間に実在するような完全立体表示を実現することにこだわったという。映像は、現時点で約3.7億ボクセル(三次元像を構成する画素の数)のカラー動画立体表示を実現する(フルハイビジョンの平面映像では、二次元像を構成する画素の数は約207万画素)。
同社によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響でEC化が急速に進み、小売店やショールーム、展示会などのリアルな場所では、集客力向上のための新たな価値の創出が課題となっているという。
このような状況を受け、リアルの場所は物を展示・販売するだけの場から、デジタルと融合した体験を提供する場への急速な変化が求められている。
世界的に急増している仮想空間の三次元デジタルコンテンツを、現実の世界に同化するかのように立体投影し、顧客とコミュニケーションをすることで、新たな体験価値を提供できるとしている。
同社では、同投影技術による立体映像の認知度拡大と市場性の検証を進め、2022年度中の実用化を目指す。
さらに将来的には、働く場における立体映像によるリモート会議や立体構造物のシミュレーションやモデリング支援、教育分野における立体構造把握支援、エンターテインメント、家庭用バーチャルアシスタントなど、幅広い用途での使用を想定する。
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