コロナ禍でオンラインミーティングがスタンダードになりつつある今、あるスタートアップが開発したビデオ会議ツールが話題になっている。「Around(アラウンド)」だ。
Aroundは米国Teamportが2018年にローンチしたビデオ会議ツール。最大の特徴は、丸く切り取られた参加者をPC画面に透過して配置できるデザインだろう。
ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなどのビデオ会議では、起動するとアプリのウィンドウが開き、参加者が一覧表示される。参加者がカメラをオンにすると、カメラが写したままの長方形で画面に表示される。そのため、背景をぼかしたり、バーチャル背景を設定したりと、利用者は工夫を強いられている。
しかし、Aroundは起動するとごく小さなウィンドウが開くだけ。そこからミーティングを開始しても、参加者のウィンドウは開くものの背景は透過する。「Floting mode」の名の通り、ディスプレイの片隅に浮いているように配置できる。そして参加者のウィンドウはかなり小さくできる。つまり、作業の邪魔をしない。
しかも、参加者は丸く切り取られて表示されるため、人物の背景は最小限しか映らない。顔の表情さえわかれば背景は不要なのだと改めて気づかされる。この点に関してAroundは、「背景はストレスになる可能性がある」と述べている。
参加者の表示部分には、さらなる工夫がある。まずは、顔を自動追尾する機能だ。ミーティングの最中に体を動かしても、カメラは顔の中心を追い続ける。常に顔を追うことで、背景にある不要な情報に気を散らすことがないように設計している。
また、顔をあまり出したくない人にありがたい機能も用意されている。ひとつは強めにかけられるエフェクト機能だ。色味を変えたり、ドット絵風にしたりと、クリックだけで切り替えることができる。ノーメイクで参加することや、背景をさらに見えにくくすることが可能だ。
もっと隠したい場合は、絵文字やGIF画像で顔の部分を覆うこともできる。顔を隠してつなぎっぱなしにしておき、用事があるときだけマイクをオンにして呼びかける使い方もありだろう。
一方で、顔を見ながらゆっくりと談笑したいときもあるだろう。そんなときは「Campfire Mode」にすると、参加者が丸く輪になって表示される。Campfire Modeについて、Aroundは「誰もが等しく関与する」と説明している。参加者の表示が他のビデオ会議ツールのように不均等ではないからだ。
Aroundは音声処理にもこだわっており、一人ひとりが同じ部屋で自分のデバイスを使っていても、エコーなどで聞き取りづらくならないように処理していると述べている。サイレンや生活家電の音、ノートPCのファンの音などのノイズをAIで自動フィルタリングし、人の声を優先しているのだという。
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