Bezos氏が揺るがしたのは小売業だけではない。同氏は2007年、電子書籍リーダー「Amazon Kindle」を発表し、これが電子書籍市場に火を付けた。電子書籍リーダーはKindleより前から存在したが、薄型で電子書籍を直接ダウンロードできるKindleは、既存の端末と一線を画していた。
Kindleは、Amazonが数々のハードウェアを打ち出すようになる先駆けだった。それらのハードウェアはすべて、人々をAmazonのオンラインストアとプライムサービスに結びつけるよう設計されている。最も重要なのは、2014年のスマートスピーカー「Amazon Echo」の登場だ。当時はEchoに搭載された音声アシスタント「Alexa」が好奇心を呼んだ。だが、AmazonはAlexaの機能を拡張し続け、プロスポーツの勝敗結果や天気予報、公共ラジオNPRのヘッドラインの読み上げなどを追加していった。さらに、照明やエアコンなどの家電の操作にも対応させた。
Amazonの成功はスマートホーム分野における競争のきっかけになった。Googleは「Google Home」シリーズのスマートスピーカーの独自音声アシスタントで、Appleは「HomePod」シリーズの「Siri」で対抗した。
Bezos氏は人並みに失敗もしてきた。最も印象に残るのは、「Fire Phone」によるスマートフォン市場への参入だ。Fire Phoneはマルチカメラと3Dディスプレイを搭載したが、ショッピングとの連携について酷評された。
それでもBezos氏が実験を恐れなかったことは、Alexa搭載のメガネや指輪が証明している。Amazonは2020年10月、野心的な新製品群を発表した。新しいクラウドゲーミングサービス「Luna」、屋内を飛び回る監視カメラ「Ring Always Home Cam」、球形の新しい「Echo Dot」などで、ハイテクなハードウェアのけん引役としての地位を固めた。
そして、ドローンによる配送サービス「Prime Air」だ。2013年の米人気番組「60 Minutes」のインタビューでBezos氏がこのサービスを披露した際、人々はこれを派手な宣伝行為だと考えた。
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